【日経平均】値を消すばかりの勝利なき戦いでも15円高

2014年04月30日 20:16

 TDK<6762>は3月期の営業利益が66%増で今期も55%増、純利益約2倍、配当は4年ぶりの10円増配でも市場予測に届かなければ135円安。ジャパンディスプレイ<6740>は下方修正への罰から解放されず42円安で連日の上場来安値更新。安川電機<6506>は35円安で7日続落と深刻。東京エレクトロン<8035>は営業利益、経常利益は好調でも太陽光パネル撤退の減損処理で3月期の最終損益を194億円の赤字と発表し、野村證券が目標株価を引き下げて24円安。今期通期業績は開示していない。

 牧野フライス製作所<6135>は後場に決算発表を行い、今期営業利益が81%の大幅増益で市場予測を上回り、直後に急伸して76円高で値上がり率2位に滑り込んだ。大和証券がレーティングを2段階特進させたコマツ<6301>は売買代金8位、58円高で年初来高値更新。クレーンのタダノ<6395>は3月期の営業利益93.5%増で従来予想を上回る好決算。今期の営業利益見通しも8.8%増の230億円で市場予測の227億円を上回り、95円高で値上がり率6位。クレーンや高所作業車は供給が需要に追いつかず、この日は北陸新幹線、北海道新幹線の延伸工事の前倒しを検討という記事もあった。鉄道土木の東鉄工業<1835>は61円高。大手ゼネコンの清水建設<1803>は6円高で年初来高値を更新していた。

 値上がり率1位は情報システムベンダーのAGS<3648>で、ストップ高の150円高で年初来高値を更新。一方、値下がり率1位は日本トリム<6788>でストップ安の640円安と売り浴びせが続き、3日で株価がほぼ4割下落した。ソフトバンク<9984>は2017年に洋上風力発電に参入し、29日発表のスプリントの決算の赤字幅が大幅縮小し株価が11.3%高になる好材料があり4日ぶりに反発し40円高だったが、上昇幅は0.53%。8.5%も上昇した16日のようなマーケットへのインパクトはなかった。

 海運2社がザラ場中に決算発表。商船三井<9104>は3月期は営業黒字転換、今期は営業利益31%増の540億円でも6円安。川崎汽船<9107>は3月期は営業利益93%増、今期は営業利益24%増の360億円でも値動きなし。理由はもちろん市場予測を下回ったため。新日鐵住金<5401>は3月期決算の経常利益が4倍の3500億円強で今期も増益という業績観測報道が出て1円高だった。商社の2銘柄に純利益過去最高の業績観測が出ていたが、伊藤忠商事<8001>は14円安、丸紅<8002>は4円安と下落した。

 新聞報道もあり小売セクターが脚光を浴びた一日。大手のセブン&アイHD<3382>は62円高。ヤマダ電機<9831>は3月にエアコンが前年比7割増も売れ、3月期の純利益を上方修正して2円高。ドラッグストア大手ではサンドラッグ<9989>が65円高、スギHD<7649>は180円高、ツルハHD<3391>は110円高、ココカラファイン<3098>は22円高、ウエルシアHD<3141>は50円高で年初来高値更新、コスモス薬品<3349>は140円高と軒並み高。クスリのアオキ<>も360円高で年初来高値を更新し値上がり率11位に入っていた。今や何でも扱うこの業界は「格安スマホ」も売るかもしれない。

 個人投資家に人気があり前週良かったノンバンクは、28日に麻生財務大臣が「貸出金利引き上げはすぐには行わない」と発言して軒並み安になり政策次第の弱み露呈。アイフル<8515>は大和証券がレーティングを引き下げて売買高1位、売買代金3位、54円安で値下がり率2位の大幅下落。同じく大和証券がレーティングを引き下げたアコム<8572>、アプラスF<8589>、オリコ<8585>も巻き込み、アコムは45円安で値下がり率3位、アプラスFは16円安で同4位、オリコは19円安で同10位だった。

 ゲーム・コンテンツ関連ではガンホー<3765>が28日に決算を発表し、売上高61%、営業利益54%の大幅増収増益で16円高。配当は未定で今期業績は開示していない。コロプラ<3668>は1~3月期の営業利益が「魔法使いと黒猫のウィズ」の課金増加で過去最高という業績観測が出て81円高。7月にクイズRPG版を発売するという。ヒット作は趣向を変えれば何度でもおいしい。

 この日の主役は京セラとアルプス電気<6770>。京セラは今期の純利益970億円が市場予測に及ばなかったが、株式分割後の実質増配見通しが評価され159円高。日経平均プラス寄与度はソフトバンクを抜いて1位。アルプス電気は昼休みに決算を発表し、今期見通しが増収増益でも市場予測に届かず年初来安値の27円安まで売り込まれたが、そこでバネが効いてプラスに戻し終値は68円高で値上がり率7位と大健闘。日経平均プラス寄与度は6位。好業績見通しでも市場予測という「えんま帳」による〃最後の審判〃でむなしく株価下落を強いられる銘柄が多い中、この両銘柄はそれを見事にはね返した。(編集担当:寺尾淳)