【日経平均】日米TPP交渉は決着せず失望売りで141円安

2014年04月24日 20:05

 23日のNYダウは12ドル安。NASDAQは34ポイント下落した。ボーイング、P&G、ダウ・ケミカルが市場予測を上回る1株当たり利益(EPS)を計上したが、3月の新築住宅販売件数が市場予測を大幅に下回ったことと、取引終了後のアップル、フェイスブックの決算の様子見が終日ブレーキになった。そのアップルのEPSは11.62ドルで市場予測の10.17ドルを上回り、1株を7株にする株式分割、増配、自社株買い枠の900億ドルへの拡大を発表し株主還元策のてんこ盛り。フェイスブックのEPSは0.34ドルで市場予測の0.24ドルを上回り、両銘柄とも時間外取引で大幅に上昇。24日朝方の為替レートはドル円102円台半ば、ユーロ円141円台後半で、前日夕方からややドル安円高が進んでいた。

 シカゴCME先物清算値は14500円。外資系証券の売買注文動向は売り越しだったが、日経平均は16.98円高の14563.25円と小幅高で始まる。純利益7.1%増のアップル、純利益2.9倍のフェイスブックの好決算効果と思われたが、あっさりマイナス圏に下落。前日夕方に来日したオバマ大統領と安倍首相の日米首脳会談の結果待ちの様子見で、14500円と前日終値14546円の間の狭いレンジの小動きがずっと続く。上海、香港市場が続落で始まっても影響されなかったが、11時20分頃から為替が円高に動いて14500円を割り込み、前引は14482円だった。

 正午すぎに日米首脳会談が終わり後場は安値を更新して再開。共同記者会見が始まると日経平均はどんどん下げて14400円も割り込み午後0時52分には14367円まで下落。ドル円もユーロ円も円高が進行した。TPP交渉は豚肉と自動車で大詰めの交渉を行ったが政治決着に至らず、閣僚協議をそのまま継続することになり合意のゴの字も出なかった。事前の期待はそんなに高くなかったが、前夜に大統領と寿司屋で歓談した「もってる安倍首相」のサプライズ待望組、イベントドリブンを仕掛けた勢力の存在、格好の売り材料にされた要素もあり、日経平均は失望売りから立ち直れない。14400円付近をベースに、少し上昇すれば上値を抑えられ下落するパターンを繰り返しながら大引けを迎えた。終値は141.28円安の14404.99円と反落。「寄り高」の下げ一方で日中値幅は196円もあった。TOPIXは-8.91の1164.90。売買高は19億株、売買代金は1兆6017億円だった。

 値上がり銘柄は692、値下がり銘柄は962で53%を占めた。プラスのセクターは非鉄金属、石油・石炭、保険、建設、水産・農林の5業種、マイナスのセクターは28業種で、その下位は電気・ガス、鉱業、ゴム製品、輸送用機器、電気機器、医薬品などだった。

 日経平均採用225種は値上がり44銘柄、値下がり169銘柄。プラス寄与度1位は住友金属鉱山<5713>で+2円、2位はコナミ<9766>で+1円。マイナス寄与度1~3位は後場に先物主導で下げたため「日経平均寄与度御三家」が揃い合計寄与度は-43円だった。

 メガバンクはみずほ<8411>値動きなし、三菱UFJ<8306>8円安、三井住友FG<8316>55円安だったが、「アインホーン氏に買われた」と話題をさらうりそなHD<8308>は17円高と続伸した。野村HD<8604>は5円安。トヨタ<7203>が80円安、ホンダ<7267>が41円安、マツダ<7261>が7円安など自動車大手はいいところなし。電機大手は東芝<6502>が18円安で売買高2位、売買代金7位、値下がり率12位と売り浴びせられ、日立<6501>も16円安と悪かった。ソニー<6758>が専門組織を設立して打ち出した新規事業第1弾は「不動産業」で8月に参入する。意外すぎるとみられて売買代金6位ながら60円安だった。

 新日本無線<6911>は前日決算を発表し、今期業績の増収増益見通しを好感され一時ストップ高の59円高で値上がり率1位。日本電産<6594>は75円高で続伸。アップルの決算は5四半期ぶりの増益だったが、日本のアップル関連銘柄はフォスター電機<6794>は7円高でローム<6963>は40円高だったが、アルプス電気<6770>1円安、太陽誘電<6976>18円安、TDK<6762>は今期の営業利益見通しが5割増という業績観測報道が出ながら45円安、村田製作所<6981>100円安、日東電工<6988>118円安と高安まちまち。それでも日本航空電子工業<6807>は206円高で年初来高値を更新し値上がり率3位と前日に続く大幅高。3月期の営業利益は91.9%増で従来予想を17億円上回る165.4億円。今期の営業利益見通しは9.1%増の180億円で、どちらも市場予測を上回りケチのつけようがない好決算だった。

 信越化学<4063>は後場に決算を発表し、3月期の営業利益は10.7%増益だが市場予測に届かず135円安。今期見通しは出していない。iPhoneを扱っても苦戦中というNTTドコモ<9437>は3月期の営業利益が2%減益の8200億円程度の業績観測が出て21円安。大飯原発の年内再稼働は困難という見通しが出た関西電力<9503>は39円安で値下がり率11位だった。

 神戸製鋼<5406>は3月期の経常利益が従来予想を150億円上回る850億円の業績観測が出て売買高5位で3円高。JFEHD<5411>は3月期の営業利益が3.3倍で市場予測を上回り、2時の決算発表直後に急騰し終値は6円高になった。業種別騰落率トップの非鉄金属セクターの住友金属鉱山は、シティGが「買い」を継続して目標株価を引き上げ54円高で連日の年初来高値更新。売買代金8位に入った。DMG森精機<6141>は3月期の営業利益見通しを13億円上方修正し、市場予測を11億円上回る94億円。株価は62円高で値上がり率15位だった。

 三陽商会<8011>は、トレンチコートの英国バーバリー社がライセンス契約を見直すいという報道で49円安になり値下がり率1位。バーバリーは2015年7月から日本国内で直営店を本格展開するという。小売セクターは比較的しっかりで、4月20日までの販売実績が良かったしまむら<8227>は320円高、今期の営業利益4%増の業績観測が出ていたAOKIHD<8214>は38円高、良品計画<7453>は370円高だった。18日に東証1部に新規上場したホームセンターのジョイフル本田<3191>は、一時ストップ高の501円高で値上がり率2位と買われていた。

 前日、マザーズに新規上場して初値がつかなかったフィクスターズ<3687>は、公開価格3450円に対し9時26分に2.6倍の初値9040円がついた。一時ストップ高になる人気で株価が10000円を突破し終値は10540円と、上々のデビューになった。

 この日の主役は、プラス業種の建設セクターでも業績上方修正が相次いだ中堅クラスで、値上がり率ランキングに顔を揃えた。5位の熊谷組<1861>は前日に3月期の営業利益を27億円、純利益を12億円上方修正して21円高で売買高3位。7位の東急建設<1720>は32円高、9位の宮地エンジニアリング<3431>は14円高、11位の佐田建設<1826>は7円高、14位の鉄建<1815>は前日に業績を上方修正し15円高だった。前田建設工業<1824>は9円高で年初来高値を更新している。もしもアベノミクスの矢が尽きても、東京五輪に国土強靱化もあり、土木を主体に建設需要はこの先、大きく落ち込むことはないと予測されている。(編集担当:寺尾淳)