24日のNYダウは0.00ドル値動きなしという2001年12月24日以来の34丁目ならぬ「ウォール街の奇跡」。NASDAQは21ポイント高。アップル、フェイスブックの好決算を背景に高く始まり、耐久財受注は市場予測を上回ったが新規失業保険申請件数は下回り、GMの決算は純利益86%減。さらにウクライナで火の手があがって上値を抑えられ、NYダウは売り買いが均衡した。ウクライナ軍が親ロシア派の強制排除を開始し、それにロシア軍が軍事演習再開で応じて緊張が高まった。アップルは8.0%高、フェイスブックは0.8%安、GMは0.64%安。取引終了後発表のマイクロソフトの決算は売上も利益も市場予測を上回り、アマゾンドットコムの決算は32%増益で両銘柄とも時間外取引で株価が上昇した。25日朝方の為替レートはドル円は102円台前半、ユーロ円は141円台前半で、前日以来円高が進行していた。
取引時間前に総務省から消費者物価指数(CPI)が発表された。3月の全国CPIは+1.3%で4ヵ月間変化なし。4月の東京都区部CPIは+2.7%で、そのうち1.7%は消費増税分と試算されていたので実質+1.0%。危惧された3%超えはなく安心感がひろがった。
外資系証券の売買注文動向は売り越し。CME先物清算値は14410円。日経平均は35.27円安の14369.72円で始まった。オバマ大統領は韓国に向かったが、TPP交渉の大筋合意もできず日米共同声明では「二国間の重要な課題について前進する道筋を特定した」「まだなされるべき作業が残されている」という苦渋の表現。交渉先送りのダメージが尾を引いたのか開始数分で14350円を割り込み、午前9時11分には14327円まで下落する。為替のドル円も高止まりしていた。
しばらく14360~14380円のレンジで小動きだったが、9時45分頃から為替の円安反転を受けて突然、TOPIXを露払いに先物主導の急上昇が始まる。10時までにプラスに浮上し14450円を超え、10時10分頃には14500円を突破して10時13分に14554円まで上昇した。しかし中国市場が軟調に転じたこともあり円安も日経平均の上昇も一服した。後は25日移動平均線の14508円で抑えられて推移し、前引は14495円だった。
後場は水準を切り下げて再開。今週は午後0時台は下落が始まる「危険な時間帯」だったが、この日も上昇幅をどんどん圧縮。一度はタッチの差でマイナス転落を免れるが1時15分に割る。30日の日銀会合の2営業日前なので前場の急騰に人呼んで「日銀プレイ」のイベントドリブンの気配も感じられたが、後場に雲散霧消した。決算発表が相次ぐ中、前日終値近辺での小動きでプラスとマイナスを行ったり来たり。どちらに転んでもおかしくなかったが、結局終値は24.27円高の14429.26円と反発し2勝3敗、前週末18日終値から87.01円下落して今週の取引を終えた。前場に大きく動いて日中値幅は227円もあった。TOPIXは+5.09の1169.99。売買高は7営業日ぶりの20億株、売買代金は1兆7578億円で10営業日連続の2兆円割れ。
東証1部の値上がり銘柄は1202で全体の66%を占め、値下がり銘柄は474。33業種別騰落率の値上がりは28業種、値下がりは5業種。プラス上位は鉱業、その他金融、医薬品、ゴム製品、小売、卸売など。マイナスは不動産、証券、精密機器、化学工業、空運。
日経平均採用225種は値上がり127銘柄、値下がり86銘柄。プラス寄与度1位はファナック<6954>で+8円、2位はアステラス製薬<4503>で+4円。マイナス寄与度1位はアメリカの工場に査察が入ったテルモ<4543>で-8円、2位はファーストリテイリング<9983>で-4円だった。
メガバンクはみずほ<8411>値動きなし、三菱UFJ<8306>4円安、三井住友FG<8316>19円安。証券セクターも野村HD<8604>5円安、大和証券G<8601>7円安で年初来安値更新とふるわない中、カブドットコム証券<8703>は市場予測を上回る好決算で52円高、値上がり率5位と健闘。トヨタ<7203>は25円高、ホンダ<7267>は35円高。決算を発表した日野自動車<7205>は今期の業績見通しが減収減益で営業利益は19.8%の減益で、増益の市場予測を裏切り44円安で年初来安値を更新した。ソニー<6758>は23円安、東芝<6502>は6円安だったが、日立<6501>は18円高、NEC<6701>は3月期決算の純利益が減益見込みから一転8%増益で着地し5円高と電機大手はまちまち。富士電機<6504>は決算の今期の増収増益幅が市場予測を上回り、38円高で値上がり率11位と買われた。
オムロン<6645>は3月期の純利益が6期ぶりに過去最高だったが、今期の営業利益見通しが8.7%増益でも市場予測に及ばず250円安で年初来安値を更新し値下がり率8位。10円増配しても効かなかった。アドバンテスト<6857>は3月期の最終損益が3期連続赤字で、今期最終黒字見通しでも有無を言わさず43円安。12月決算のキヤノン<7751>は前日に1~3月期決算を発表。営業利益は50%増益の826億円。今期見通しの営業利益を50億円上方修正し3650億円としたが、市場予測の3683億円に届かなかったため値動きなしだった。
NTTドコモ<9437>は朝から「インド撤退」が大々的に報じられたが12円高。料金競争が過熱して赤字体質になっていたためで、タタ・テレサービシーズの株を売却し、3月期決算で800億円の関連損失を計上する。ソフトバンク<9984>は7円安、KDDI<9433>は48円安だった。
川崎重工<7012>は前場に決算発表。3月期は良くても今期見通しは保守的で市場予測を下回るが、前日に年初来安値を更新していたため安値バネが効き28円高で値上がり率13位。タイミングがよかった。日立建機<6305>は復興需要の追い風を受け3月期の純利益23%増で22円高。日立金属<5486>は3月期の純利益が3倍と決算内容が良く154円高で値上がり率6位に入った。
日産化学工業<4021>は京都大学と共同でiPS細胞の培養コストを10分の1に下げる新手法を開発し49円高で年初来高値を更新。資生堂<4911>は1時に3月期決算を発表。今期は売上高は増収、純利益は増益でも営業利益が15%減益の420億円で市場予測の480億円を下回ったため乱高下。終値は82円安で値下がり率15位だった。駆け込み需要で3月期の営業利益が大幅増だったので、今期も増益にするのは大変そうだ。
決算で騒々しい中、医薬品大手は業種別騰落率3位と堅調でアステラス製薬は23円高、好決算が評価された中外製薬<4519>は81円高、エーザイ<4523>は69円高、武田薬品<4502>は68円高だった。4期連続最高益のJT<2914>は39円高。日本トリム<6788>はストップ安比例配分の1000円安で年初来安値を更新し値下がり率1位。前日発表の決算で今期の経常利益が9.1%減なのを嫌気されていた。
アイフル<8515>は売買高、売買代金とも1位。48円高で3日続伸し値上がり率4位。21日の貸金業の金利規制緩和報道で火がついた今週は「ノンバンクの週」で、この日もその他金融セクターは業種別2位だった。上場6日目のジョイフル本田<3191>は600円の大幅高で値上がり率3位。23日に上場した西武HD<9024>は前日は下落したが、この日は55円高。ヤフー<4689>はブックオフ<3313>と資本業務提携し、ブックオフで買い取った本をヤフーでネット販売すると報じられた。ブックオフはストップ高比例配分の150円高で年初来高値を更新し値上がり率2位。ヤフーは9円高だった。
この日の主役は3月期決算を発表した東海地方の自動車部品メーカー。デンソー<6902>は増益の市場予測に対し今期減益見通しを出し乱高下したが1円高。売買代金8位。アイシン精機<7259>は今期営業利益が市場予測に届かず最終利益は減益で、これも乱高下したが155円高。ジェイテクト<6473>は今期は売上高、営業利益、純利益とも市場予測を下回って16円安で年初来安値更新。ステアリング、シートの富士機工<7260>の3月期は純利益の減益見通しをくつがえし増収増益。今期純利益は15.8%増で連続最高益更新見込み。市場予測がなく、ストップ高の80円高で値上がり率1位になった。(編集担当:寺尾淳)