【日経平均】値を消すばかりの勝利なき戦いでも15円高

2014年04月30日 20:16

 週明け28日のNYダウは住宅指標の良さに加えファイザーによるアストラゼネカへの買収提案も好感され87ドル高と反発。しかし「モメンタム銘柄」は軟調でNASDAQは1ポイント安で続落した。29日のNYダウは一時+110ドルを超える上昇で86ドル高と続伸。NASDAQも29ポイント高と反発した。ウクライナ情勢は動かなかったが、メルクが利益で市場予測を上回る決算を出してムードを明るくした。30日朝方の為替レートはドル円102円台後半、ユーロ円141円台後半で、28日夕方と比べると円安が進行した。

 シカゴCME先物清算値は14445円。外資系証券の売買注文動向は4営業日ぶりに買い越し。取引時間前に発表された3月の鉱工業生産指数速報値は+0.3%の101.8で2月の-2.3%から好転しても市場予測は下回った。年度ベースは3年ぶりプラスで+3.2%。NYダウ続伸、NASDAQ反発、為替は円安と外部条件が好転した上に月末の「ドレッシング買い」期待もある日経平均は105.28円高の14393.51円と反発して始まり、15秒後に14400円を回復する。しかし長続きせず14400円を割り込み、午前9時39分には14371円まで下げるヘタレぶり。その後に一度14400円にタッチするが、プラス圏の14370~14390円の狭いレンジでくすぶる。ドレッシング買い勢力も日銀会合狙いのイベントドリブン勢力も来ないが、上海、香港市場がマイナスで始まっても反応薄。ところが11時を回ると安値更新を繰り返しながら下落し、11時20分には14312円まで下げる。超高速取引(HFT)問題でアメリカの検察当局が「大陸ヨーロッパ勢」のBNPパリバとクレディスイスの訴追を検討という情報が入り、さらに今回の日銀会合で追加緩和は見送りになったという日経の速報ニュースも入った。前引は14321円だった。

 後場は再開早々に14300円を割り込む。午後0時50分頃、日銀から金融政策現状維持の結果発表があり、約束でもあったかのように瞬間約80円上昇して折り返し1時にマイナスに落ち込み14275円まで下げる。為替もほぼ同じ動きだった。これで日銀会合がらみのザラ場の思惑劇は終わったが、大引け後の黒田総裁の発言次第では今夜のFOMCの結果と競演しての第2幕もありうる。その「黒田会見待ち」で1時30分頃から東京市場は静まり返り、日経平均は14320円近辺でもみあい続ける。それでも大引け前15分間は少し波乱でマイナスまで下げた後に反発。終値は15.88円高の14304.11円で、3月31日の終値14827円から523.72円下落してアップダウンが激しかった4月の取引を締めくくった。前場の高値をどんどん消して日中値幅は146円。TOPIXは+1.70の1162.44。売買高は20億株、売買代金は1兆9094億円で、商いは意外に多くなった。

 値上がり銘柄753より値下がり銘柄919のほうが多く過半数を占めた。値上がりセクターは18業種、値下がりセクターは15業種。値上がり上位は陸運、空運、医薬品、電気・ガス、食料品、不動産など。値下がり下位は証券、その他金融、ゴム製品、海運、サービス、非鉄金属などだった。

 日経平均採用225種は値上がり109銘柄、値下がり101銘柄と拮抗。プラス寄与度1位は京セラ<6971>で+12円、2位はホンダ<7267>で+5円。マイナス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で-14円、2位はTDK<6762>で-5円だった。

 メガバンクはみずほ<8411>値動きなし、三菱UFJ<8306>1円安、三井住友FG<8316>35円高と三者三様。JPX<8697>は44円安で年初来安値更新。今期の東証の1日あたり売買代金(全商品)の前期比15.7%減が証券業界に与えたショックは大きく業種別騰落率最下位。野村HD<8604>は16円安、大和証券G<8601>は17円安でそれぞれ年初来安値を更新した。値下がり率ランキングでは東洋証券<8614>が6位、カブドットコム証券<8703>が16位、東海東京FHD<8616>が17位に入っていた。

 自動車大手のホンダ<7267>は65円高。ダラスにアメリカの4法人を集約して販売、生産の統合を目指すトヨタ<7203>は43円高、日産<7201>は3円高と買われたが、3期連続営業利益最高の業績観測が出ても富士重工<7270>は38円安、同じく最高益更新観測のスズキ<7269>も3円安で終えている。電機大手では28日に出たパナソニック<6752>の3月期決算が最終利益が1204億円の黒字で3期ぶりの黒字転換。市場予測の1195億円を上回ったが1円安。NEC<6701>は今期経常利益30%増が市場予測に届かず、3月期の純利益が10.9%増でも経常利益が24.9%減と悪いのも響いて16円安。東芝<6502>は3円安、シャープ<6753>は6円安で年初来安値を更新した。