30日のNYダウは45ドル高で4ヵ月ぶりに終値ベースの史上最高値を更新。しかしNASDAQ総合指数は11ポイント高と上昇は控えめ。1~3月の国内総生産(GDP)は年率換算で0.1%増と市場予測を大きく下回る低水準で「大寒波の影響」と言い訳は可能だったが序盤売り込まれた。ADP雇用リポートは21.5万人増、シカゴ購買部協会景気指数は63.0で市場予測を6.0ポイントも上回り、ともにポジティブサプライズ。連邦公開市場委員会(FOMC)が終了しFRBが発表した声明は「足元で経済活動が加速。労働市場も一段と改善」という楽観的な認識で、量的緩和をさらに縮小して5月から購入規模を100億ドル減らし450億ドルにすると発表した。経済指標に裏付けられた景気の先行き期待は出口戦略のテーパリングに打ち勝ち、投資家は買いで反応し続伸。しかしIT関連など「モメンタム銘柄」はツイッターが8.6%安など高安まちまちだった。1日朝方の為替レートはドル円が102円台前半、ユーロ円が141円台後半でドルが少し安くなっていた。
前日大引け後の黒田日銀総裁の記者会見は「物価2%目標は2015年頃に実現する」「現時点の見通しで緩和の出口を特定するのは時期尚早」と強気一本槍ではなかったが、2016年度の物価見通しを2.1%とし「夏頃に消費増税の悪影響を乗り切る」と述べた日銀の「展望レポート」が発表されると、追加緩和期待が後退して直後の日経平均先物は下落した。
シカゴCME先物清算値は14290円。取引時間前の外資系証券の売買注文動向は再び売り越し。習近平主席が視察に訪れた直後の中国・ウルムチ駅で爆弾テロが発生し3名が死亡、50名以上が負傷してチャイナリスクも意識せざるを得ないが日経平均は36.98円高の14341.09円で始まった。「寄り付き安値」で上昇して14400円を突破し午前9時30分に14444円まで上昇する。しかし10時に中国の物流購入連合会の製造業購買担当者景況感指数(PMI)が発表されると、3月から0.1ポイント改善して50.4でも日経平均は下落し、その後は14400円を下回って推移する。ただ都合がいいことにテロが起きた中国本土市場も香港市場も「労働節(メーデー)」の祝日休場で、他のアジア市場もほとんどが休場。前引の直前にぐっと値を切り上げて14400円台を回復し、前引は14405円だった。
後場は一段高で再開し、日経平均は午後0時45分に14493円まで上昇して14500円、14503円の25日移動平均線に迫るが突破できない。日経平均先物のほうは14500円にタッチしていた。1時台には凹むが14400円台はしっかりキープして前週のような午後の波乱は起きない。大引け前に再び上昇し、終値は181.02円高の14485.13円と続伸した。日中値幅は152円。TOPIXのほうが大きく上昇し+19.76の1182.20で高値引け。売買高は19億株、売買代金は1兆8650億円で2兆円をなかなか回復できない。
値上がり銘柄は1506で東証1部全体の83%を占めた。値下がり銘柄は225。業種別では32業種が上昇し、その上位は証券、その他金融、電気・ガス、海運、保険、不動産など。下位は水産・農林、ガラス・土石、石油・石炭、ゴム製品、建設などだった。下落した業種は食料品1業種にとどまった。
日経平均採用225種の値上がりは190銘柄、値下がりは29銘柄。プラス寄与度1位はソフトバンク<9984>で+14円、2位はKDDI<9433>で+13円、3位はファーストリテイリング<9983>で+12円。マイナス寄与度1位はファナック<6954>で-11円、2位は今期減益見通しで値下がり率4位のTOTO<5332>で-3円、3位は信越化学<4063>で-2円。主力株が全面高だったこの日、この3銘柄の下落がよけいに目立った。
メガバンクは揃って上昇。三井住友FG<8316>は148円高で3.67%上昇した。自動車大手は、4月の新車販売が8ヵ月ぶりに減少して11.4%減と発表されても問題にせずに軒並み高。トヨタ<7203>に3月期の営業利益2.3兆円で過去最高という業績観測記事が出て高値引けの123円高。富士重工<7270>は7人乗りSUVのアメリカ専用車を10年ぶりに開発という話題があり61円高。ホンダ<7267>は54円高、マツダ<7261>も10円高だったが、日野自動車<7205>は47円安で年初来安値を更新し値下がり率14位だった。電機大手もNEC<6701>20円高、日立<6501>20円高、シャープ<6753>5円高など堅調。富士通<6702>は今期の純利益見通しが10%増の1250億円で市場予測を上回り、野村證券がレーティングを引き上げて売買高7位、売買代金10位と買われて38円高になった。