新旧東京オリンピック 50年の今と昔

2014年05月04日 17:54

 2020年に開催が決まった東京オリンピックに向けて、世の中がにわかに動き始めている。

 元総務大臣の竹中平蔵氏(現・慶応大教授)が所長を務める森記念財団都市戦略研究所の試算によると、6年後の東京オリンピック及びパラリンピック開催に伴う経済波及効果は約19兆4千億円にものぼるとみられ、日本のGDPは毎年0.3パーセント程度上向くと期待されている。また、五輪開催に関連して、全国で述べ約121万人の雇用の誘発も見込まれるという。

 開催地の東京では、オリンピック関連施設はもちろん、街のあちらこちらでオリンピックを見越した数多くのプロジェクトが立ち上がりはじめている。品川区では「英語少し通じます商店街」と銘打ち、商店街で働く人々向けの簡単な英会話講習会を催すプロジェクトを今年度から始めている。オリンピック前後には、海外からの観光客が増加するのは間違いなく、その時に向けて少しでも話せるようになっておきたいという人々の気持ちを反映したプロジェクトなのだ。また、日経BP社の「東京大改造マップ2020」(2014年2月発刊)や、日本経済新聞出版社から野村総合研究所が4月下旬に発刊予定の「東京・首都圏がこう変わる!未来計画2020」など、オリンピックに向けて急速に変化していく東京の街をテーマにした書籍も、続々と刊行されている。

 さらにオリンピックといえば、今年2014年は、前回の東京オリンピックから数えて、ちょうど50周年となるメモリアルイヤーでもある。50年前、日本では様々なものが誕生した。例えば、東海道新幹線が開業したのは、オリンピック開会式の9日前の1964年10月1日。森永製菓が日本初の高級チョコレート「ハイクラウン」を発売したのも50年前。「止められない、止まらない」のCMでおなじみの、カルビー「かっぱえびせん」も、この年に発売された。また、お菓子だけでなく、今や目薬の定番ともいえる「V・ロート」がロート製薬から発売されたのもこの年だ。「V・ロート」は1年間で1500万個売り上げる大ヒット商品となった。ちなみに、ロート製薬では「V・ロート」生誕50周年を迎えるにあたり、消費者参加型のコンテスト形式のキャンペーンとして、「忘れることのない瞳に残る記憶」をテーマにしたエピソードやメッセージを募集し、優秀作品には素敵なプレゼントを進呈するほか、上位3作品はショートムービー化し、動画サイトで配信する予定だという。

 50年とひと口に言っても、その歴史には重みがある。ロート製薬の「V・ロート」一つをとってみても、時代の変化にあわせて幾度も生まれ変わりを繰り返している。「かっぱえびせん」や「ハイクラウン」とて同じだ。50年経った今でも愛され続けているのは、企業の弛まぬ努力の賜物だろう。新幹線も、この50年の間に何度も新型車両が登場しているが、いずれも世界一安全で定時運行できる鉄道として、世界的な評価も高い。

 世界中の注目を集めるオリンピックイヤーは、日本国内のみならず、世界に向けて日本の技術や商品力をアピールできる絶好の機会でもある。6年後に迫った東京オリンピックでも、様々な技術や商品がお目見えすることだろう。「新幹線」や「V・ロート」のように、さらにその50年後の2070年の世の中でも愛され続ける価値の高いものがたくさん誕生することを期待したい。(編集担当:藤原伊織)