政府は来年度から、2020年の東京オリンピック開催に伴う建設需要の増加に対応するため、オリンピック開催までの時限措置として、「外国人技能実習制度」の期間を延長することを決定した。「外国人技能実習制度」とは新興国への日本の技術移転を目的とした制度だが、同時に日本企業の外国人労働者の獲得にもつながるわけである。さらに先日の経済財政諮問会議、産業競争力会議では日本の既婚女性がもっと働きやすい環境をつくるため、家事補助や介護職の分野でも外国人労働者の受入れを拡大しようという提案も出されている。
また少子化による人口減少に歯止めをかけるため、日本政府は来年から95年間の間、毎年20万人の移民を受け入れる案も検討している。この受入れは移民の永住を前提としており、この試算通りに移民を受け入れれば、大幅な人口減は避けられ、安定した労働力の確保も可能となる。また移民の受入れは途上国の発展を支援する効果もあり、国際貢献にもつながる施策から、国際的には奨励される側面もあるといっていいだろう。
少子化による人口減少が進む以上、国力を維持するためには、移民の受入れが必須であるという意見もある。しかし移民受入れには様々な問題も懸念される。低賃金の外国人労働者が多く流入した業種では競合する日本の労働者の賃金水準も低下するという予測もあるし、同時に競合する日本人労働者の職を奪うことになるのではないかという声も聞かれる。低賃金の労働は失業や不満を招き、治安の悪化や日本人と外国人の間の対立によるトラブルも予想されるだろう。
Yahoo!ニュースが行った意識調査によると、こうした移民や外国人労働者を受け入れるべきではないとする意見は48.9%。まだまだ移民受入れには抵抗があるのが実情のようだ。日本の少子化に歯止めをかける政策の検討や建設業や介護職など、若者の就業が進まない業種の労働条件の改善、既婚女性や高齢者が働きやすい環境の整備など、むしろ移民に頼らずに日本経済を維持していくための対策が求められているのではないだろうか。(編集担当:久保田雄城)