実は「ミニ統一地方選」だった4月 盛り上がらなかった選挙の理由

2014年05月06日 08:23

 沖縄県沖縄市長選が4月27日に投開票され、新人の前自民党県議・桑江朝千夫氏(58)(自民・公明推薦、民主・維新支持)が、新人の元副市長・島袋芳敬氏(64)(無=共産・社民・生活推薦)を破り、初当選した。実はこの日に新たなリーダーとして選ばれたのは桑江氏だけではない。他にも7つの選挙が、行われた。

 先月は日本全国で首長(知事・市長など自治体のリーダー)選挙が続々開催される、いわば「ミニ統一地方選」の一ヶ月だったのだ。この1ヶ月で、北海道から沖縄まで全国で60名が首長として選ばれている(21名は無投票当選)。

 普天間基地移転問題の行く末を占う知事選の前哨戦ともいえる沖縄市長選など、安倍政権への賛否を表す上でも重要なこれらの選挙だが、全国的なキャンペーンなどは行われなかった。なぜ、この重要な「ミニ統一地方選」が全国的な盛り上がりを見せなかったのだろうか。その一つの理由に、「相乗り」が挙げられる。

 「相乗り」とは、国政では対立している与野党が地方の首長選挙では同じ候補を応援することである。冒頭に挙げた沖縄市長選では自民系候補を民主・維新が支持、京都府知事選挙では公明党本部に加え自民・民主・維新の各党が府連での推薦をするなど、重要な選挙での相乗りが目立つ。

 相乗りは、市民の選択肢を狭めてしまい議会が「オール与党」化してしまうという大きな問題をもっている。このような問題があるにもかかわらず、与野党が勝ち馬に乗ろうとする、相乗りの候補者が選挙を有利に進めることができることは、想像に難くない。

 しかし、相乗り候補がすべての選挙に勝つというわけではない。たとえば20日の西宮市長選では、自民・公明・民主が推薦した現職の河野昌弘氏(68)に挑戦した元市議の今村岳司氏(41)が初当選した。

 西宮市で戦後最年少の市長を生んだのは、変革を求める市民の意思である。今村氏は投票日前に「自分の持っている一票のちからを諦めないでください」というメッセージをホームページで発信した。相乗りには、その後の政策実行をスムーズにするという利点も確かにある。私たちの街の舵取りを誰に任せるか、私たちは「真のリーダー」が誰なのかを見極めて、まずは投票に行くべきである。(編集担当:久保田雄城)