5月5日に、日産はスペインのバルセロナ工場で電気自動車(EV)のコマーシャルバン「e-NV200」の生産を始めた。同日、バルセロナ工場で行なわれた生産開始式典で挨拶する日産のアンディ・パーマーCPLO(Chief Planning Officer)。
日産自動車は5月5日に、スペイン現地法人のバルセロナ工場で電気自動車(EV)コマーシャルバン「e-NV200」の生産を始めた。
同日、バルセロナ工場で行なわれた生産開始式典には、スペイン産業相のホセ・マヌエル・ソリア氏、カタルーニャ州知事のアルトゥール・マス氏、バルセロナ市長のジャビエル・トリアス氏をはじめとした地元の政財界関係者が参列した。
日産では、バルセロナ工場で生産するe-NV200の6月の欧州販売を皮切りに世界各国に輸出し、日本にも輸出・投入する。以後、約20カ国に向けて輸出し、販売先を拡大し世界各地の市場に向けて輸出する予定だ。
EVは走行距離の短さが指摘されるが、e-NV200で日産は決められた配送ルートを走る商用車の用途にあったエコカー「ゼロエミッション車」として普及を目指す。フル充電で走行できる距離は170km、最高速度は120km/h。都市部を営業エリアとする運送会社やタクシー会社などを想定ユーザーとしている。
なお、バルセロナ市は、このe-NV200を同市のタクシーとして公式に導入する世界で最初の自治体となった。
日産では、スペインの生産事業に総額4億3100万ユーロ(約610億円)を投資しており、今回生産を開始する「e-NV200」に関連する投資額は1億ユーロ(約140億円)で、日産主力のコマーシャルバン「NV200」をベースにEV生産専用の設備を導入した。
グローバルな視点でみると、NV200はガソリン乗用車としても評価が高く、米・ニューヨークのタクシー「イエローキャブ」公式車両として採用、昨年からニューヨークで黄色いNV200が疾駆している。日本でも東京、神奈川などでタクシーとして走っている姿を見かけるようになってきた。
同社にとってスペイン・バルセロナ工場生産の完成車を日本へ輸出するのは、1994年の日産ミストラル以来20年振りとなる。ミストラルはSUVなどという名詞が未だ一般的ではなかった時代のラダーフレーム構造を持ったガソリン&ディーゼルエンジン搭載のパートタイム四駆車だった。「日産モトール・イベリカ」が生産していた。(編集担当:吉田恒)