介護職、やりがいはあれど半数が「辞めたい」

2014年05月13日 15:49

 超高齢化社会を迎え、人材不足が深刻になりつつある介護職員。やりがいを感じつつも、賃金の低さなどを理由に離職する人が後を絶たない。介護職の処遇改善などに取り組む全労連「介護・ヘルパーネット」が全国の介護職員に調査したところ、「仕事にやりがいがある」と答えた職員でも、半数近くは「仕事を辞めたい」と考えていることが分かった。

 調査は昨年11月~今年2月、介護職員6369人(男性1464人、女性4881人)を対象に実施。内訳は、正規職員3867人、パート1905人、その他538人となっている。

 介護の正規職員の平均賃金は、月額20万7795円(13年10月)。全労働者の平均29万7700円と比べ、9万円も少ない。介護職は全労働者平均の7割弱しか収入を得ていないことになり、その差は深刻だ。男性正社員では「20~25万未満」が約4割と最も多かったのに対し、女性正社員では「15~20万未満」が4割強と、より低賃金層に偏っている。フルタイムのパートでも、男性より女性の方が低賃金で働いていることが明らかになった。

 介護職には、利用者や家族に感謝されるなど、喜びもある。「今の仕事はやりがいがあるか」と尋ねたところ、「そう思う」が最多の7割を占めた。一方、「わからない」も2割、「そうは思わない」も1割おり、約3割の職員は「やりがい」を感じずに(感じられずに)働いているようだ。雇用形態別でみると、最もやりがいを感じているのは短時間勤務の臨時・パート職員、次いでフルタイムのパート職員、正社員の順。労働時間が長いほど「やりがい」を感じづらいということは、仕事の「対価」がきちんと得られていない現状を示唆している。

 「仕事にやりがいがある」と答えた介護職員でも、45%は「仕事を辞めたいと思う」と回答した。最も多い理由は「賃金が安いから」で44%。介護職の深刻な労働実態、とりわけ低賃金が、職員から仕事のやりがいを奪っている実態が浮かび上がる。高齢社会を支える介護職。その処遇改善は、もはや待ったなしである。(編集担当:北条かや)