13日のNYダウは19ドル高で5日続伸し終値は3営業日連続で史上最高値を更新する〃宇宙旅行〃。しかしNASDAQは13ポイント安で、モメンタム銘柄から大型主力銘柄への資金シフトが指摘されていた。注目の4月の小売売上高は0.1％増で市場予想を大幅に下回ったが3月分の0.4ポイント上方修正が打ち消す。この日もAT&TによるディレクTV買収が合意の見通しと報じられ、ウォール街ではM&Aが話題の中心だった。14日朝方の為替レートはドル円が102円台前半、ユーロ円が140円台前半で、ECBの追加緩和期待でユーロが安くなっていた。
シカゴCME先物清算値は14470円。取引時間前に日銀が発表した企業物価指数は前月比+2.8％で13ヵ月連続で上昇し、前年同月比は+4.1％。外資系証券の売買注文動向はなぜか大幅売り越しで、それが不思議の始まり。日経平均は39.84円安の14385.60円と前日の大幅上昇を見ての利益確定の売りが先行して安く始まる。午前9時4分にいったん14400円台にタッチしながら、どんどん値を切り下げ9時27分には14349円まで下げる。その後はTOPIXがプラスに転換し日経平均も9時49分に14419円まで上昇するがプラス圏の手前で待ったがかかる。TOPIXはずっとプラスでも日経平均は先物の上値が重くマイナス圏の14400円をはさむ小動きが続く「NTねじれ現象」。上海市場が続落でも香港市場が5日続伸で均衡したためかアジア市場にも反応薄で、11時台は徐々に値を切り下げ、前引は14375円だった。
後場も状況は変わり映えせず、日経平均はおおむね14370～14400円の狭いレンジでもみあうだけでプラスに浮上できない。その間もTOPIXはプラス圏で推移し、銘柄数も業種別もプラスのほうが数が多くなるという不思議な現象が起きていた。大引け前に上昇をみせて14400円を突破するが、この日の高値にもプラスにも届かず、19.68円安の14405.76円で小幅反落した。日中値幅はわずか70円。TOPIXは+4.80の1183.15。TOPIXが高値引けになったのに日経平均がマイナスという何とも不思議な終わり方をした。もはや、どのような不思議も美しい、か？ 売買高は19億株、売買代金は1兆7097億円だった。
上昇銘柄が1024で全体の56％を占め、下落銘柄は644。値上がりは27業種、値下がりは6業種。プラス上位は不動産、その他金融、ゴム製品、証券、海運、保険など。マイナスは建設、鉱業、銀行、鉄鋼、情報・通信、石油・石炭だった。
日経平均採用225種は値上がり134銘柄、値下がり80銘柄で値上がりのほうが多い。プラス寄与度1位は住友不動産＜8830＞で+6円、2位はデンソー＜6902＞で+3円。マイナス寄与度同率1位は日揮＜1963＞とKDDI＜9433＞の-17.58円。日経平均寄与度御三家大幅安のマジックでマイナスになったのかと思えば、2位までにその御三家が姿を見せないのもまた、不思議な一日だった。
大引け後に決算発表を控えたメガバンクは、みずほ＜8411＞は2期連続増配で年間配当を7円にすると報じられ1円高。しかし三菱UFJ＜8306＞は4円安、三井住友FG＜8316＞は29円安。前日に決算を発表したりそなHD＜8308＞は今期経常利益が25.8％減の見通しで3円増配を発表したが16円安。野村HD＜8604＞は7円高、大和証券G＜8601＞は14円高と証券セクターは好調だった。前日決算を発表したアイフル＜8515＞は3月期の営業利益が53％増で、今期の見通しは公表していないが19円高。売買高1位、売買代金2位と人気は相変わらずで、その他金融セクターは業種別で2位だった。
トヨタ＜7203＞30円高、日産＜7201＞7円高、富士重工＜7270＞41円高など自動車大手はおおむね堅調。前日に1～3月期決算を発表したヤマハ発動機＜7272＞は大幅増収増益で通期見通しは据え置きでも69円高だった。自動車部品ではカルソニックカンセイ＜7248＞が64円高で年初来高値を更新し値上がり率5位。3月期営業利益が従来予想を、今期の営業利益が市場予測を上回った。
大引け後の決算発表待ちのソニー＜6758＞は期待を集めて19円高。シャープ＜6753＞は売買高6位に入り5円高だった。この日は1円高の東芝＜6502＞に技術革新のニュースあり。アメリカのサンディスクと共同で5000億円を投資して三重県四日市市に工場を建設し、2016年初頭をメドにスマホ用の「多層化3次元フラッシュメモリー」を開発する。注目はその容量で、従来タイプの64GBを一気にHDD並みの1024GB（1TB）へ16倍にする。発売されればHDDからSDDへの転換がさらに進みそうだ。
