【日経平均】プラスに戻して精いっぱいの弱々しい35円高

2014年05月09日 20:25

 8日のNYダウは32ドル高。しかしNASDAQは16ポイント安。ECB理事会はOECDがゼロ金利を求めた政策金利を0.25%に据え置くと決定。しかしドラギ総裁が記者会見で「理事会は次回に行動しても良いという認識」と、6月のECB理事会で金融緩和があるかのような発言をしてユーロは急落する一方、フランスのCAC指数は年初来高値を更新した。アメリカの新規失業保険申請件数は市場予測よりも良く、イエレンFRB議長の議会証言は2日目も波乱なく終了。NYダウは一時100ドルを超える上昇で史上最高値もすぐ上に見えたが、ハイテク系などモメンタム銘柄が安く、午後にマイナス圏まで下げたがなんとかプラスで終えた。アメリカの長期金利が上がらず9日朝方の為替レートはドル円101円台半ば、ユーロ円140円台半ばで、前日夕方と比べて円高が進んでいた。

 シカゴCME先物清算値は14095円。取引時間前の外資系証券の売買注文動向は5営業日ぶりの買い越し。マイナーSQの日で、500社以上が3月期決算を発表する後半ピークの日の日経平均は61.80円安の14101.98円で始まる。午前9時6分に14100円を割り14091円まで下げても一時的で、9時10分すぎにSQ推計値14104.82円が出ると日経平均はそれを上回る上昇をみせ、TOPIXともども9時15分にプラスにタッチする。しばらく前日終値近辺で停滞するが、9時40分頃から上昇が始まり14200円を突破し14200円台前半でもみあった。10時30分に中国の4月の消費者物価指数(CPI)、卸売物価指数(PPI)が発表され、CPIは前年同月比+1.8%、前月比-0.3%で、PPIは前年同月比-2.0%。上海、香港市場は下落で反応したが日経平均は少し下げただけですぐに上昇に転じる。為替も円安に振れ、11時5分には14266円まで上昇して前引は14247円だった。

 後場は水準を下げて始まるが、利益確定売りの金曜日でもあり高値を取りに行けない。1時台になると14200円をはさんだ小動きが続くがマイナスには落ちない。2時に3月の景気動向指数速報値が発表され、一致指数は1.1ポイント上昇し114.0、先行指数は2.2ポイント低下し106.5。発表直後に少し売られたがすぐ元に戻り終盤も14200円前後で推移したまま大引け。35.81円高の14199.59円で2勝1敗、前週末2日の終値から257.92円のマイナスで今週の取引を終えた。今年に入ってSQ値は4ヵ月連続で前月比で下げたが、今月ようやく下げ止まり前月比プラスに。それを吉兆に5月の日経平均月間騰落が4年連続マイナスの「セル・イン・メイ」のジンクス打破に向かいたいが、続伸しても35円高では前々日の大陰線の半値戻しも達成できていない。日中値幅は175円だった。TOPIXは+5.50の1165.51。売買高は19億株、売買代金は1兆8820億円で、値がさ株の売買が活発なSQの日にしては商いが少なかった。

 東証1部の値上がり銘柄は全体の58%の1053、値下がり銘柄は608。33業種別騰落率は25業種が上昇、8業種が下落。上昇セクター上位はその他金融、その他製品、陸運、非鉄金属、機械、ゴム製品など。下落セクター下位は石油・石炭、証券、繊維、金属製品、鉱業、サービスなどだった。

 日経平均採用225種の値上がりは125銘柄、値下がりは83銘柄。プラス寄与度1位は好決算を発表したセコム<9735>で+5円、2位はアステラス製薬<4503>で+4円。マイナス寄与度1位は決算がさえなかったNTTデータ<9613>で-6円、2位はファーストリテイリング<9983>で-3円だった。

 メガバンクは揃って上昇したが、野村HD<8604>は5円安、大和証券G<8601>も5円安で年初来安値更新と証券は不振。ノンバンクのオリックス<8591>は前日に決算を発表し、3月期の最終利益は66.9%増の1867億円、今期の最終利益は12.4%増の2100億円で、8期ぶりに過去最高益を更新する見通しで売買代金13位と買われ75円高。アイフル<8515>も売買高1位、売買代金3位に入って15円高で、その他金融セクターは業種別騰落率トップだった。

 自動車大手では富士重工<7270>が後場に決算を発表し、今期営業利益、最終利益とも4.1%増でも市場予測を下回り、売買代金7位ながら14円安で年初来安値更新。ホンダ<7267>は17円安、マツダ<7261>は値動きなし。東芝<6502>の3月期の営業利益は3300億円で25年ぶりの最高益更新。今期は純利益2.4倍見通しで売買高9位になり5円高だった。日立<6501>は8円高、ソニー<6758>は2円安、パナソニック<6752>は5円高、NEC<6701>は2円安など、電機大手はまちまちだった。