【日経平均】GW明けは外部要因の悪化で424円の大幅安

2014年05月07日 20:28

 前週末2日のNYダウは45ドル安と続落。NASDAQは3ポイント安。雇用統計のポジティブサプライズをウクライナ情勢悪化があっさり打ち消した。ただしNYダウは史上最高値圏で上値余地が乏しい面はあった。朝方発表の4月の雇用統計は非農業部門雇用者数の伸びが28.8万人で前月より9.6万人も多く、市場予測の21~22万人をぶっちぎる。失業率も6.3%で3月から0.4ポイント改善し市場予測の6.6%よりも良かった。それを受けNYダウはザラ場ベース史上最高値の16631ドルにあと11ドルまで迫ったが、ウクライナ軍と親ロシア派武装集団の戦闘が激化して情勢が緊迫化すると地政学的リスクの回避、高値圏での利益確定売りに週末要因も重なり、マイナス圏まで値を崩された。

 5日のNYダウは17ドル高で3営業日ぶりに反発。NASDAQは14ポイント高。ファイザーは減収減益決算。4月の中国のHSBC製造業PMI確定値は速報値から下方修正。ウクライナでは死者が増えるばかりでケニアでは連続爆破テロ。それで午前は売られたが、午後はISM非製造業景況指数が市場予測を大きく上回り、買い戻されプラスに浮上した。

 6日のNYダウは129ドル安の大幅反落。NASDAQは57ポイント安。ウクライナ情勢に改善の兆しなく3月の貿易統計の赤字幅は市場予測ほど縮小しなかったが、ツイッターの「ロックアップ期間」が終了して17.8%も下落。フェイスブックなど他の「モメンタム銘柄」も巻き添えにした。AIGの業績悪化も効いた。7日朝方の為替レートはドル円が101円台後半、ユーロ円が141円台後半で、雇用統計発表直後に103円にタッチしたドル円は6日、アメリカの長期金利の低下によりドル安円高が進行していた。

 OECDが今年の経済成長見通しを発表し、世界経済は直前見通しを0.1ポイント下方修正して+2.2%、日本経済は0.3ポイント下方修正して+1.2%とした。シカゴCME先物清算値は14240円。取引時間前の外資系証券の売買注文動向は3営業日連続の売り越し。日経平均は161.26円安の14296.25円と14300円を割って始まり、ズルズル下げて20分もたたないうちに14200円も割り込む。東京市場の4連休は「かくも長き不在」だったようで、アメリカ雇用統計のポジティブサプライズなど光年のかなたに飛び去ってしまっていた。「荒れるSQ週の水曜日」でもあり市場再開早々、外部要因にズタズタにされてアンニュイな空気が漂って、486円高だった昨年の5月7日とは大違い。アジア市場は日本のGWの間は好調だった上海も含め揃って下落し、午前10時台も下げ止まらずに14100円台前半で低迷し、前引は14125円だった。

 後場も状況に変わりはなく、午後1時40分には14085円、2時10分には14069円まで下げ、為替レートはあまり動かなくても先物売りを仕掛けられたらあっさり14100円を割ってしまう。最後はダメ押しのような安値引けで終値424.06円安の14033.45円で続落。日中値幅は266円もあった。TOPIXも安値引けで-30.47の1152.01。売買高は21億株。売買代金は2兆2286億円で、4月11日以来15営業日ぶりの2兆円台回復。4月11日も340円の大幅安だった。日経平均はGWの間に蓄積した外部要因のマイナス材料を織り込むだけ織り込んで、これで気が済んだはず。8日はアク抜けして急反発できるか。

 東証1部の値上がり銘柄は96、値下がり銘柄は1685。33業種別騰落率は全業種がマイナスで、下落幅が小さいのは食料品、空運、電気・ガス、精密機器、サービス、不動産など。大きいのはパルプ・紙、証券、石油・石炭、保険、銀行、情報・通信などだった。

 日経平均採用225種は値上がり3銘柄、値下がり219銘柄。プラス寄与度1位はJT<2914>で+1円、2位は東京ガス<9531>、3位はアサヒGHD<2502>でどちらも+1円未満だった。マイナス寄与度1~3位は「日経平均寄与度御三家」が揃い踏みして合計-116円で、下落幅の27%を占めていた。

 銀行、証券セクターの下落が目立ち、メガバンクも証券大手も全滅。特に悪いのが188円安で4.47%下落した三井住友FG<8316>と、33円安で4.19%下落し年初来安値を更新した大和証券G<8601>だった。ドル円101円台の円高進行で自動車、電機は軒並み安。トヨタ<7203>は120円安、ホンダ<7267>は101円安、マツダ<7261>は23円安。パナソニック<6752>は38円安、日立<6501>は30円安、東芝<6502>は10円安、NEC<6701>は8円安。富士通<6702>はプラスになり年初来高値を更新した時間帯もあったが終値は10円安だった。

 大引け後に決算を控えたソフトバンク<9984>は3月期決算の純利益が最高益を更新し初めてNTTドコモ<9437>を超えるという業績観測記事に加え、子会社のアリババがIPO申請を提出したニュースで序盤はプラスだったが、先物売りに抵抗できずマイナスに落ち399円安で日経平均マイナス寄与度1位。格安スマホ用回線レンタルでソフトバンクと提携した日本通信<9424>は43円高で年初来高値更新と買われた。KDDI<9433>は152円安、NTTドコモは30円安だった。前週末に1~3月期決算を発表したアサヒGHDは前年同期比で営業利益は145%増、最終損益は26億円で黒字転換し、通期見通しは据え置きでも3円高。それに連れ高して同じセクターのJTが31円高になった。