【日経平均】上値重く前日の半値戻しもままならず130円高

2014年05月08日 20:17

 7日のNYダウは117ドル高と大幅反発。しかし大幅減益決算のAOLが20.61%の大幅安でツイッターも続落。ヤフーもフェイスブックもグーグルも安く「モメンタム銘柄」が不振でNASDAQ総合指数は13ポイント安と続落した。ウクライナ情勢はロシア軍が国境周辺から一時撤退するなど明るい兆し。イエレンFRB議長の議会証言はボロを出すことなく終了。景気に明るい展望を語りながら雇用や住宅市場に気配りする金融緩和政策継続ニュアンスが安心感をもたらし、金融株は上昇した。ウォルト・ディズニーの1~3月期決算の純利益27%増に貢献したのは映画『アナと雪の女王』の興行収入で、株価は中盤まで高かったがエルサの気まぐれで凍らされたのか終値は0.9%下落した。イエレン証言でドル円は一時102円にタッチしていたが、8日朝方の為替レートはドル円は101円台後半、ユーロ円は141円台後半だった。

 シカゴCME先物清算値は14210円。取引時間前の外資系証券の売買注文動向は売り越し。タイのインラック首相が失職するなど外部要因は依然波高しの中、自律反発分を超えてどこまで反発するか注目の日経平均は102.96円高の14136.41円で始まる。だが序盤はCME清算値にさや寄せするどころか伸び悩んで15分で始値を下回るヘタレぶり。プラスで始まりながら大幅安まで売り込まれたソフトバンク<9984>が足を引っ張る。午前9時30分には14108円まで下げ、そこから14160円近辺まで上昇するが、後はもみあう展開。TOPIXは上昇が鈍くその先物がマイナスになる時間帯もあった。11時を回ると中国の貿易統計が発表され、輸出額が前年同月比0.9%増で市場予測の3.5%減を上回って上海市場はプラスに転じ、4月の東京都心部オフィス空室率は6.64%で3月に比べ0.06ポイント改善。経済指標を追い風に日経平均は11時台の前場残り20分から徐々に上昇し、14186円の高値で前引になった。

 後場は一段高の14200円台で再開し前日の424円安の半値戻しをクリアし14250円にもタッチするが、マイナーSQの前日で、大引け後にトヨタ<7203>の決算も控えているためか、上値を追うどころか逆にジリジリ下げて1時台には14200円をたびたび割り込みヘタレぶり再び。ソフトバンクはプラスに浮上しそうで届かずブレーキをかけたまま。2時台も再びジリ安になり、前日の半値戻しは遠くなるばかり。それでも終盤少し上昇し終値は130.33円高の14163.78円と反発したが、前引値にも届かずこの程度では自律反発の範囲内。日中値幅は146円だった。TOPIXは+8.00の1160.01で日経平均よりも上昇率が小さかった。売買高は17億株、売買代金は1兆8294億円で1兆円台に逆戻りした。

 値上がり銘柄は1103、値下がり銘柄は559でおよそ2対1の比率。上昇セクターは30業種で、その上位は卸売、海運、電気・ガス、繊維、医薬品、保険など。下位はサービス、不動産、情報・通信など。下落セクターは金属製品、建設、輸送用機器の3業種だった。

 日経平均採用225種は値上がり183銘柄、値下がり35銘柄。プラス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で+24円、2位はKDDI<9433>で+11円。マイナス寄与度1位はソフトバンクで-14円、2位はファナック<6954>で-4円だった。

 メガバンクは買い戻され、みずほ<8411>は値動きなしでも三菱UFJ<8306>は9円高、三井住友FG<8316>は66円高。野村HD<8604>は3円高。トヨタは17円高だったが富士重工<7270>は74円安で年初来安値を更新。ホンダ<7267>は17円安、マツダ<7261>は5円安と自動車大手は不振だった。点火プラグの日本特殊陶業<5334>の決算は今期増収増益見通し。市場予測を上回り189円高で値上がり率4位に入った。

 電機大手では3月期の純利益が35%減の500億円という業績観測があった東芝<6502>に、GEと交渉してフランスのアルストム社の送配電事業の買収提案を行うニュースがあり前場に年初来安値を更新しても4円高。売買高3位に入った。アルストムはGEとシーメンスが買収提案を行い注目の的。日立<6501>は6円高だがパナソニック<6752>は24円安で年初来安値を更新した。カシオ計算機<6952>は今期営業利益見通しが31.7%増で市場予測を上回り67円高で値上がり率14位。日本無線<6751>は今期営業利益見通しが9.9%増で市場予測を上回り48円高で年初来高値を更新し値上がり率2位。4年ぶりの5円の復配見通しも発表している。

 ソフトバンクの前日の決算の内容は好調。3月期の営業利益は1兆863億円でNTTドコモ<9437>を上回り、決算説明会で孫正義社長は「いずれトヨタを抜く」と意気盛んだったが、最注目の銘柄だけに業績観測が何度も出て材料出尽くし感あり。残ったのはアリババのIPO懸念や格安スマホに押される懸念など不安ばかりで121円安。ソフトバンクと対照的にKDDIが141円高、売買代金9位と買われ、NTTドコモは24円高だった。

 味の素<2802>は2時に決算を発表し、3月期の営業利益は12%減でも今期は11.9%増というV字回復を好感され49円高。三菱ケミカルHD<4188>は中国全土で植物工場の栽培システム販売するというニュースがあり1円高で3日ぶりに反発した。