災害の予測は困難だが、企業の持つ技術を駆使して災害後の被害を軽減する対策は、まだ可能性が大きいと思われる。
12日パナソニック株式会社<6572>よりパナソニック・ゴーベル・インドネシアが、インドネシアで災害時における、防災無線システムの実証実験を行ったと発表があった。実証実験は日本時間14年3月21と22日、インドネシア技術評価応用庁(BPPT)など政府機関と協力し、大規模な防災訓練として同国のパダンで実施され、パナソニックは唯一の日本企業として参画した。
実験では避難所と指令センターを設置した。地震発生後スタッフが担当の避難所に急行し、260メガヘルツ帯の無線とタブレットを利用し、指令センターと画像の共有、通信を行なう。避難所には屋外インフラ用創蓄製品の、ソーラーパネルやバッテリを備え停電時でも無線連絡が可能。監視カメラも設置され4.9ギガヘルツ帯の長距離通信も可能な、無線通信用のインフラ機器「マルチアクセスコンセントレータ」を通じ、映像で津波などの危機を知らせることができる。指令センターで各地から収集し、監視カメラで捉えた映像や画像を、アプリを使い位置付けして被災地を特定するとスタッフが即時に対応する。
インドネシアは太平洋、ユーラシア、オーストラリアプレートがせめぎ合う地殻のため、大地震も多く、スマトラ島沖地震やジャワ島中部地震などは記憶に新しいと思われる。100以上存在する活火山の一部も活発に活動しており、地震や火山には津波も伴う。一部の地域はアジア・モンスーン地帯のため、雨期は激しい雨で洪水も発生する、災害の多い国である。インドネシア側スタッフの1人は東日本大震災の際に日本におり、双方の国の災害への対応技術の差を実感し、日本の技術を取り入れたいとのことである。
パナソニックは情報を早く伝達することで、災害時に身を守るために役立つと考えている。災害の多い国々で、被災地に居ながら迅速に情報を収集する無線通信分野の技術と、技術支援を行い、同時に大型の防災無線システムのノウハウを得る。そして長年培った技術の提供によって社会に貢献していくとのことである。(編集担当:高井ゆう子)