NECがフィリピンを災害から守る 広域防災システムを受注

2014年03月18日 06:49

 NEC<6701>は13日、フィリピン共和国フィリピン火山・地震研究所より震度計や潮位計などを用いて火山や地震活動を検知し、災害対策に役立てる広域防災システムを受注したと発表した。

 これは、日本国政府の防災・災害復興支援無償資金協力により、フィリピン共和国フィリピン火山・地震研究所が実施する「広域防災システム整備計画」のためのもの。フィリピン全域に設置された強震計や潮位計のセンサデータを、衛星通信(VSAT)を介してフィリピン火山・地震研究所へ集約する。2015年2月からの稼働を予定している。

 フィリピン共和国は、日本と同様に環太平洋地震帯に属しているため、火山や地震活動が活発であり、その被害が頻繁に発生している。そのため、地震や津波の監視体制を強化し、その情報をリアルタイムに国民へ提供して、減災や災害対応能力の向上を図ることが緊急の課題となっている。

 今回導入する広域防災システムは、フィリピン全域に設置された強震計と潮位計のセンサデータを、VSATを介して、フィリピン火山・地震研究所のサーバに集約。具体的には、フィリピン全域の約40か所に強震計を、約20か所に潮位計を設置する。

 これらのセンサには、常時データ送信ができるよう太陽光電池が使用されている。震動や潮位のデータは、リアルタイムに集約され、火山・地震活動の常時モニタリングが可能となる。同研究所では、地震や津波を検知した際は即時に関係省庁へ伝達することや、センサデータの変化から火山噴火の予測に役立てることで、減災につなげることを目指す。

 今後、NECでは、同システムとフィリピンの他の省庁のシステムを連携させ、データに異変があった際に自動通知する仕組みや、住民への通報サービスなどを提案し、フィリピンのさらなる防災対策を強化する方針だ。

 NECは、社会ソリューション事業を推進しており、中でも消防・防災ソリューションは国内トップシェアを有しているという。この分野における技術・ノウハウの海外展開を強化しており、12年には、台湾で防災救急情報クラウドシステムを受注した。(編集担当:慶尾六郎)