独立行政法人国際協力機構(JICA)と独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は23日、宇宙航空技術を活用して開発途上地域が直面する多様な開発課題及び地球規模課題の解決に貢献することを目的として、連携協力の推進に関する基本協定を締結した。
JICAとJAXAはこれまでも、アマゾンでの森林保全・違法伐採防止のための衛星データ利用や東南アジア、アフリカ地域における衛星データを利用した地図作成、青年海外協力隊との連携等を通じた協力関係を築いてきた経緯がある。
例えば防災分野では衛星情報の取得方法や災害時における衛星情報の活用方法、衛星情報を利用した流出・氾濫解析方法などの研修を実施。森林・自然環境分野では、アマゾン森林保全・違法伐採防止のための衛星データ解析による違法伐採地発見の能力強化に取り組み、このほか地形図や水資源管理など幅広い分野で実績を重ねてきた。
新たに結ばれた協定の主な内容は、1)開発途上国における開発課題及び地球規模課題の解決のために実施するJICAの事業へのJAXAの宇宙航空技術や関連機材の活用、2)開発途上国を対象とした、開発途上地域における宇宙航空技術の利用の普及啓発に関するセミナー、シンポジウム及びイベント等の開催、人材育成若しくは能力開発に係る事業に関する協力並びに国際会議における講演の実施に関する協力、3)開発途上国に向けた、宇宙システム及び衛星データ利用関連地上システム等の海外展開の推進に関する協力――などとなっている。
協定に基づき今後は、JAXAが持つ宇宙技術や研究成果を開発途上国における社会経済の開発へ活用するのみならず、これまでの連携分野を国際緊急援助隊の活動や農業分野にも拡大する。また、こうした事業での経験をJAXAの新たな宇宙技術の開発に活かすなど、相互に得意とする分野を相乗的に活用、発展させることで、更なる社会貢献、課題解決に寄与する考えだ。
JAXAはロケット打ち上げや宇宙科学研究などで世界をリードする技術力を誇っている。一方のJICAは途上国への開発支援という大命題の下、貧困削減や安全保障など数々の課題に取り組む。今回の協定によって、途上国の開発支援に先端技術を活用するための、新たな基盤が築かれたといえよう。(編集担当:横井楓)