20日のNYダウは137ドル安で3営業日ぶりに反落し、NASDAQは28ポイント下落。悪材料は要人発言で、フィラデルフィア連銀のプロッサー総裁が利上げ時期は予想より早くなるとほのめかし、NY連銀のダドリー総裁が「来年の金利引き上げに期待」と言えば「利上げ後の引き締めは緩やか」と金利急騰は起きないと示唆しても歯止めにならず、決算が不振の小売セクターを中心に売られた。事務用品販売のステープルズが12.6%安、同じくオフィス・デポも6.2%安。AT&Tは続落し、ツイッター0.9%安、フェイスブック1.1%安、リンクトイン1.0%安でモメンタム銘柄は軟調だった。21日朝方の為替レートはドル円が101円台前半、ユーロ円が138円台後半で、前日よりも円高に振れた。
シカゴCME先物清算値は13980円。取引時間前の外資系証券の売買注文動向は買い越し。4月の貿易収支は22ヵ月連続の8089億円の赤字だったが、3月より赤字圧縮で為替レートは反応しなかった。朝から14000円をめぐる攻防が予想された日経平均は105.54円安の13969.71円で始まるが、そこを底値に上昇し、午前9時10分頃には14000円台の大台を回復。9時台後半から前場はずっとおおむねマイナス圏の14010~14040円の狭いレンジで値動きする。TOPIXも1150を軸にした小動き。上海、香港市場がマイナスで始まった直後、一時的に14000円を割ってもすぐ戻す。前引は14034円だった。
11時41分に日銀の金融政策決定会合の結果が発表された。大方の予想通り金融政策現状維持で、設備投資に関する景気判断を「持ち直しが明確になっている」を「緩やかに増加している」に引き上げた。「これで追加緩和が遠くなる」と思った人もいたはず。発表後、為替は瞬間円安に振れ、日経平均先物は瞬間14090円まで上昇したが、すぐに押し下げられた。「約束通りにイベントに一応、反応しておいた」とでも言いたげな動きで、後場が14000円割れで再開したのもそうなのか、数分後には14000円台まで戻している。
しかし、大台を維持しきれない。12時台のうちに14000円を割り込むと、12時58分にこの日の安値13964円をつける。大引け後にある黒田総裁の記者会見待ちムードの中、1時台前半は13980円前後だったが、後半は14000円前後に、2時台にはさらに14040円前後の水準に階段状にステップアップ。一時14054円の高値を取ってプラス浮上の気配もなくはなかったが、結局そのまま終了し33.08円安の14042.17円と反落した。アメリカの大幅株安と円高進行でも小幅安ですんで健闘した部類に入る。日中値幅は90円。TOPIXも-3.33の1150.05と反落。売買高は17億株、売買代金は1兆5680億円だった。
東証1部の値上がり銘柄は672、値下がり銘柄は983で全体の54%を占めた。年初来安値更新ラッシュで全体の15.7%の285銘柄にのぼった。業種別で上昇は12業種、下落は21業種。プラス上位は鉱業、石油・石炭、空運、水産・農林、情報・通信、陸運など。マイナス下位は不動産、非鉄金属、その他金融、機械、保険、輸送用機器などだった。
日経平均採用225種は値上がり91銘柄、値下がり123銘柄。プラス寄与度1位はKDDI<9433>で+5円、2位はファナック<6954>で+3円。マイナス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で-13円、2位は住友不動産<8830>で-3円だった。
メガバンクの三菱UFJ<8306>は2円高だったが、みずほ<8411>は3円安、三井住友FG<8316>は29円安で、ともに年初来安値を更新した。りそなHD<8308>は2003年に公的資金が注入されて手を引いた海外進出を再開し10月にベトナムに出ると報じられ2円高。野村HD<8604>は値動きなし。円高が進行し自動車大手はただ株価を押し下げられるのみ。トヨタ<7203>はHV車の燃費を改善する新型半導体を開発と伝えられたが48円安。富士重工<7270>は4円安、マツダ<7261>は10円安、三菱自動車<7211>は12円安で、ともに年初来安値を更新した。日産<7201>は値動きなし。それでもホンダ<7267>は売買代金8位で5円高と逆行高していた。
電機大手は富士通<6702>が6円高、パナソニック<6752>が5円高、日立<6501>は1円高、三菱電機<6503>は年初来安値を更新した直後からプラスで推移し13円高。シャープ<6753>は4円安、東芝<6502>はフランスで建設中の国際熱核融合実験炉(ITER)の超電導コイルを470億円で受注と発表したが11円安で年初来安値更新。ソニー<6758>は11円安だったが、金融事業のソニーFH<8729>が前日発表した決算は今期1.1%の経常増益、増配の見通しで13円高だった。ジャパンディスプレイ<6740>は32円高と続伸し値上がり率7位だった。
コマツ<6301>は、前日のNY市場でキャタピラーの2~4月期の販売がふるわず3.63%下落したのを受け69円安と連れ安。日立建機<6305>も66円安で年初来安値を更新した。業種別で鉱業が騰落率1位、石油・石炭が2位と資源関連が好調で、石油資源開発<1662>はSMBC日興証券がレーティングを引き上げ310円高で値上がり率3位。ニッケルの大平洋金属<5541>は27円高と続伸し値上がり率11位、売買高7位、売買代金13位に入った。千代田化工建設<6366>はカナダ最大のLNGプラントを受注する見込みと報じられ27円高。受注額は1兆円規模で英国企業などと3社共同で手がける。