今なお深い爪痕を残す、2011年3月の東日本大震災により発生した福島原発事故。その事故をきっかけに、国内の原子力発電所はすべて稼働停止となっているが、しかし日本原子力発電が21日に発表した14年3月期連結決算によれば、当期純利益が16億5500万円の黒字であったことが分かった。前期は5億800万円の赤字であった。
日本原子力発電の保有している原発3基はすべて稼働停止となっているため、電力の販売量は前期に引き続きゼロであったものの、しかし販売契約を結んでいる大手電力5社から設備維持費などを受け取っていることから、売上高は前期比17.5%ダウンの1258億円、経常利益は87億円、当期純利益は16億5500万円の黒字という結果であった。こうして黒字に変換するのは、3年ぶりのことである。
日本原子力発電の保有する原発は、東海第2原発(茨城県東海村)、敦賀原発1号機、2号機(福井県敦賀市)の合計3基であるが、11年6月以降、それらはすべて稼働停止となっている。そのため電力の販売量は発生せず、契約を結んでいる東京電力<9501>、関西電力<9503>、中部電力<9502>、東北電力<9506>、北陸電力<9505>らからの基本料金が主な収入源となっている。
しかしその基本料金も13年度は1258億円で、12年度の1524億円からマイナスとなっており、さらには20日、日本原子力発電は原子力規制委員会に対して、茨城県の東海第2原子力発電所の安全審査の申請をしたものの、地元の自治体から「申請と運転再開は別問題」といった主張を受けるなど、依然として現在保有している3基の原発の再稼働の見通しは立たず苦しい状況が続いている。
そのため、日本原子力発電は15年3月期の業績予想に関して、「停止中のプラントの再起動時期および販売電力量の見通しが未定であることなど、売上高、費用ともに不確定な要素が多い」ため未定としている。
日本原子力発電は政府の推進する原発輸出に関わる事業を請け負っており、このような海外事業に活路を見出したい考えもあるようだが、はたしてそれが形となるかどうかは、まだまだ未知数の状態である。(編集担当:滝川幸平)