先月、インドネシアの現地紙ジャカルタ・グローブは、同国のエネルギー鉱物資源省が地熱発電の電力買い取り料金の増額を計画していると報じた。インドネシア政府は総発電能力に対する地熱発電の比率を2013年の2.89%から21年までに12%まで引き上げる方針で、発電所の運営会社からの買い取り料金を増額することで開発を加速させるねらいがある。この買い取り料金の増額によって地熱発電の開発に外国企業も含めた新規参入が行われることが目的だと、同省幹部は説明している。
この地熱発電は、数多くある再生可能エネルギーの中でも特に期待が集まっているエネルギーの一つである。それは日本においても同様だ。先月、日本のエネルギー政策の中長期的な指針となる「エネルギー基本計画」が4年ぶりに見直され、閣議決定された。
その基本計画の中で、地熱発電は発電コストが安く1日を通して安定的に発電できる「ベースロード電源」とされた。現時点でも1キロワット時当たり8~10円で出来る地熱発電に適した場所は日本各地にあるといわれるが、この発電コストは現在全発電量の6%を占める水力発電よりも低く、今後の技術開発でさらに安くなる可能性が高い。
基本計画で「世界第3位の地熱資源量を誇る」と謳われている日本の地熱エネルギー。その資源量は2,347万キロワットと試算されている。第1位のアメリカが日本の約24倍の陸地面積に対して3,000万キロワット、第2位のインドネシアが同5倍に対して2,779万キロワットであることを考えれば、日本の地熱資源量が圧倒的に多いことがわかるだろう。
東日本大震災後、再生可能エネルギーへの転換が大きな課題となっているが、地熱発電こそ期待のホープと言える。2,347万キロワットといわれてもあまりピンとこないかもしれないが、これは東日本大震災前の原子力発電による発電量の約半分である(07年日本原子力産業協会調べ)。
世界ではすでに、地熱発電を主要なエネルギー源として位置づけている国も多い。たとえば日本と同じ火山大国のフィリピンでは、総発電量の実に14.4%を地熱発電で賄っている(07年火力原子力発電技術協会調べ)。対して日本は0.2%(同)、あまりにも低い数字だが、見方を変えればそれだけ可能性が秘められているということだ。再生可能エネルギーへの転換期である今こそ、地熱発電の開発を急ぐべきだろう。(編集担当:久保田雄城)