日本人の貯蓄は1世帯当たり1739万円 実態は一部の富裕層の貯蓄が平均値を引き上げ

2014年05月24日 16:29

 2013年の日本人の貯蓄は1世帯当たり1739万円。この数字に複雑になる人も多いのではないか。しかし、少なくとも総務省の統計ではそうなっている。

 総務省は16日、家計調査報告(貯蓄・負債編)2013年平均結果速報(二人以上の世帯)を公表した。

 それによると、 13年平均の二人以上の世帯の1世帯当たり貯蓄現在高(平均値)は1739万円で、前年に比べ81万円4.9%の増加となった。貯蓄保有世帯全体を二分する中央値(金額の低い世帯から高い世帯へと順に並べ、ちょうど中央に当たる世帯の値)は1023万円(前年1001万円)となった。

 また、年間収入は616万円で、前年に比べ10万円、1.7%の増加となり貯蓄年収比(貯蓄現在高の年間収入に対する比)は282.3%で、前年に比べ8.7ポイントの上昇となった。

 二人以上の世帯について貯蓄現在高階級別の世帯分布をみると、平均値(1739万円)を下回る世帯が68.0%(前年67.2%)と約3分の2を占め、世帯分布は貯蓄現在高の低い階級に偏っている。貯蓄現在高が最も少ない100万円未満の階級が、二人以上の世帯に占める割合は10.0%となっており、前年(10.6%)に比べ0.6ポイントの低下となった。

 また、二人以上の世帯について貯蓄の種類別に1世帯当たり貯蓄現在高をみると、定期性預貯金が724万円(貯蓄現在高に占める割合41.6%)と最も多く、次いで「生命保険など」が379万円(同21.8%)、通貨性預貯金が356万円(同20.5%)、有価証券が240万円(同13.8%)、金融機関外が40万円(同2.3%)となっている。

 このうち勤労者世帯についてみると、定期性預貯金が450万円(同36.2%)と最も多く、次いで「生命保険など」が320万円(同25.7%)、通貨性預貯金が295万円(同23.7%)、有価証券が116万円(同9.3%)、金融機関外が63万円(同5.1%)となっており、二人以上の世帯と同様の順になっている。

 12年と比べると、定期性預貯金は、二人以上の世帯では同水準となっているが、勤労者世帯では減少となっている。「生命保険など」は,二人以上の世帯及び勤労者世帯共に増加となっている。通貨性預貯金は,二人以上の世帯及び勤労者世帯共に増加となっており、特に勤労者世帯は調査を開始した2002年以降11年連続の増加となっている。

 有価証券は、安倍内閣が進めた経済政策(いわゆる「アベノミクス」)により、株高が進んだことなどから、二人以上の世帯及び勤労者世帯共に増加となっており、特に二人以上の世帯は24.4%と大幅に増加となっている。

 また、二人以上の世帯について貯蓄現在高階級別に貯蓄の種類別割合をみると、貯蓄現在高が少ない世帯ほどおおむね通貨性預貯金の割合が高く、貯蓄現在高が多い世帯ほどおおむね定期性預貯金及び有価証券の割合が高くなっている。

 二人以上の世帯について貯蓄現在高階級別に世帯割合をみると、500万円未満の世帯が最も多く、2013年は全体の31.9%となっており、これらの世帯の貯蓄額の割合は総貯蓄額の3.7%となっている。また、4000万円以上の世帯は全体の11.1%となっており、これらの世帯の貯蓄額の割合は総貯蓄額の44.0%となっている。

 人の懐はわからないが、情けないが少なくとも筆者の貯蓄はこの統計には程遠い。平均値(1739万円)を下回る世帯が68.0%もあるので、実態は一部の富裕層の膨大な貯蓄が平均値を引き上げたのだろう。(編集担当:慶尾六郎)