「幸せのものさし」で激変、日本一幸せな県は?

2013年02月27日 14:54

 2011年に法政大学の研究グループが発表した「47都道府県の幸福度指数・ランキング」によると、日本一「幸せ」な環境が整っているのは福井県で、2位は富山県、3位は石川県となった。北陸3県がトップを独占する一方、東京都は38位、大阪府は47位と、大都市圏に暮らすことが必ずしも「幸せ」とは限らないという結果になっている。

 ところが昨年末に発刊された『日本でいちばんいい県 都道府県別幸福度ランキング』(寺島実郎監修、一般財団法人日本総合研究所編)では、日本で最も幸福度が高いのは長野県で、2位が東京都、3位が福井県とされている。長野県は法政大の調査では7位だったが、今回は1位に。38位だった東京は一気に2位と順位をあげている。ちなみに大阪は42位だった。

 どうしてこのような違いが現れるのだろうか。カギは幸福度を算出するために使われる指標の違いにある。法政大の調査では、幸福度を「生活・家族」「労働・企業」「安全・安心」「医療・健康」の4部門、合計40の指標から算出している。持ち家率、就職率、貯蓄額、出生数、保育所数、犯罪や火災の件数、平均寿命などが考慮されており、1位の福井県は失業率、持ち家の広さ、自動車保有数、貯蓄率などで上位にランクインした。

 一方、日本総研の調査では、社会構造などを示す基本指標と「健康」「文化」「仕事」「教育」「生活」という5つの分野を加えた合計55の指標が使われている 。東京都は「財政健全度」や「一人あたり県民所得」「留学生数」「海外渡航者数」などでトップとなり、結果的に全国ランキングで2位に食い込んだのだ。

 法政大の調査では、失業率の低さや保育所定員の高さなど、国内での就業環境や、子育てのしやすさで北陸3県がトップを独占した。一方で日本総研の調査では、法政大の調査では使われていない「留学生数」や「海外渡航者数」といった評価軸が用いられている 。これらは当然、グローバルに開かれた大都市である東京都にとっては有利となり、日本海側の北陸勢にとっては不利になる。暮らしやすさか、グローバルに開かれた開放性か。2つの幸福度ランキングを比較してみると、「幸せのものさし」が見えてくる。