福島県民の90人が甲状腺がんの疑い

2014年05月25日 07:57

 漫画「美味しんぼ」の鼻血描写問題が話題となっている。実際には被ばくで鼻血がでることはないらしいが、ここまで騒ぎになるには、福島県民および日本人全体の放射能に対する恐怖が高まっているからだろう。

 福島県は「甲状腺検査」を2011年10月から行っているが19日、13年の進捗状況と結果を発表した。それによると、3年間の合計で甲状腺がん、もしくは疑いがある人は90人に上った。
 
 2013年度の検査は、13年4月22日から開始し、34 市町村の対象者(約15万8 000人)について検査を実施した。また、13年度末までに、1回目の甲状腺検査(先行検査)が終了し、11年10月からの全体の受診率は80.2%となっている。

 3年間の細胞診結果(14 年 3月 31日現在) は、11年度は、悪性ないし悪性疑い 15人(手術13人:良性結節1人、乳頭癌11人、低分化癌疑い1人)となった。このうち男性は5人、女性 女性は10人だった。平均年齢は 17.3±2.0 歳 (13-20 歳)、震災当時 15.7±1.9歳(11~18 歳)。平均腫瘍径は14.1±6.6mm(6.0~33.0mm)。

 12年度は、悪性ないし悪性疑い 54人(手術36人:乳頭癌36人) 、このうち、男性が21人、女性が33人。平均年齢は17.2±2.7 歳(8~21 歳)、震災当時 14.9±2.6歳(6~18 歳)。平均腫瘍径は14.5±7.9mm(5.2~40.5mm)。

 14年度は、悪性ないし悪性疑い21 人(手術2人:乳頭癌2人) 、このうち、男性が6人、女性が15人。平均年齢は16.0±3.1 歳(11~20歳)、震災当時 13.5±3.0歳(8~18歳)。平均腫瘍径13.4±6.8mm(5.1~30.3mm)。

 これらの結果、細胞診などによる悪性ないし悪性疑いがある人は3年間で90人となった。このうち、手術をした人は51人、良性結節が1人、乳頭癌が49 人、低分化癌疑い1人だった。男性は32人、女は58人。平均年齢は16.9±2.7 歳(8~21歳)で、震災当時は14.7±2.7 歳(6~18歳)である。平均腫瘍径 14.2±7.4mm(5.1~40.5mm)となった。  また、このうち、基本調査問診票を提出した方は45人(50%)で結果通知されたのが34人である。そのうち、1mSv未満の方が21人(61.8%)となっている。今後も、引き続き問診票の意義や重要性を説明し、提出してもらうよう働きかけていくという。

 また、12年11月1日から実施している、福島県外の検査実施機関については、14年4月18日現在、全ての都道府県において、86の検査実施機関と協定を締結している。なお、受診者29万5511 名のうち 97.1%の受診者については検査結果が確定し、結果通知を発送しているとした。

 この「県民健康調査」甲状腺検査は、子どもたちの健康を長期に見守っていくのが目的。この3年間で震災当時14.7歳の子ども90名の健康に害が及んでいる。県では14年 4月2日より「本格検査」として、2回目の検査を開始しているというが、早急な対策や事態の終息を願いたい。 (編集担当:慶尾六郎)