未だに大きな爪跡が残る東日本大震災だが、発生時、被害が大きい自治体では、庁舎・施設の倒壊により、庁内ネットワークや情報システムが被害を受けた。そして、「災害対策本部と避難所間で情報を共有する手段が確保できない」、「被災状況の把握、災害対応指示ができない」といった、情報収集・伝達手段に関する課題が顕在化した。また、企業においても「地域の被災状況が収集できない」、「支店や工場などの出先機関の被災状況が把握できない」など、BCPの観点から多くの課題が浮き彫りになったという。
これを受け、ITホールディングスグループのTIS株式会社は26日、災害時に自治体や企業の災害対策本部などで利用するためのクラウド型危機管理情報共有システム『Bousaiz(ボウサイズ)』を、提供開始すると発表した。
Bousaizは、災害情報の発報と連動した安否確認から、災害掲示板を通じたリアルタイムな状況の把握、画像や地図情報の共有など、災害時の状況判断に必要な様々な情報の一元管理・共有化により、迅速で正確な初動対応の実現を支援するクラウド型危機管理情報共有システムだ。
高い信頼性と拡張性を持ち、災害対策が施された堅牢なクラウドプラットフォームを活用し、被災現場での情報活用・収集を考慮して、ポータビリティに優れたスマートフォンやタブレットなどのマルチデバイスに対応している。
具体的な機能は、Bousaizの災害掲示板では、安否確認とともに写真・動画や文字情報で報告した内容を時系列で一元管理・共有することができ、関係者間で最新情報を正確に把握することが可能。
また、写真や動画などで収集した情報は、自動的に地図情報に貼り付けられ、関係者間で共有することも可能だ。さらに、予め「避難所」「病院」「消防署」など災害時に必要な設備や情報を地図上に登録することで、避難誘導の経路検索が行える。また、クラウドで提供するため、常に最新化された地図情報を利用できる。
災害時には災害掲示板が不要な情報で溢れるという事態も発生する。このシステムでは通常の組織における部・課単位でのグループ分けに加え、複数部署を横断したグループや災害協定先の団体や関連企業などとのグループ設定が可能。不要な情報で溢れるという事態が回避できる。
また、Bousaizは、高い信頼性と拡張性を持つクラウドプラットフォームを活用して、ユーザーのセキュリティポリシーや運用方法にあわせて、最適なシステム環境を提供。クラウドプラットフォームは、災害対策が施された堅牢なファシリティと高度なノウハウを持った運用スタッフが常駐するデータセンターで運用するため、災害時でもシステムが止まることなく、情報資産はデータセンターで万全に保護される。
そして、機器はPCはもちろんスマートフォンやタブレットといったポータビリティのある身近なデバイスに対応することで、被災現場からの状況報告、休日・夜間の災害といったシーンでの迅速な対応を可能にする。
利用料金の例は、200名までの場合で、初期費が50万円(税別)月額費用 が8万円(税別)。TISは、2016年度末までにBousaizの70社/団体への導入を目指す。 (編集担当:慶尾六郎)