パブリッククラウドサービスは、継続して発展している。その発展は、一般消費者向けWebアプリケーションといった新しいワークロード(アプリケーションやシステム領域)への対応だけではない。既存ワークロードのクラウド化を促すソリューションも著しく発展している。2013年は、企業がIT導入時にクラウド(パブリッククラウドあるいはプライベートクラウド)を第一の選択肢として検討する「クラウドファースト」元年となったといえるだろう。
IT専門調査会社IDC Japan 株式会社は21日、国内パブリッククラウドサービス市場予測を発表した。これによると13年の国内パブリッククラウドサービス市場規模は前年比37.4%増の1302億となった。国内パブリッククラウドサービス市場は拡大を続け、18年の同市場規模は、13年比3.0倍の3850億円になると予測している。
12年までは、パブリッククラウドサービス(特に、Infrastructure as a Service/Platform as a Service [IaaS/PaaS])の利用用途は、新規システム領域が中心だった。しかし、13年、同サービスの利用用途は、既存のシステム領域まで拡大した。これまで、「何となく」棲み分けされてきたパブリッククラウドサービスと、仮想化を含めた従来型のIT製品/サービスの直接的な競合状況が始まった。
「クラウドファースト」および「既存IT市場との競合」は、複数のクラウドを統合的に連携/管理するハイブリッドクラウドの普及を促進するという。また、ハイブリッドクラウド時代では、多様な顧客の要望に応答えるために、市場の多様化/細分化が起こるとしている。
すでに、Software as a Service(SaaS)市場では汎用型アプリケーションから、産業特化型アプリケーションへと、成長領域が変化。また、プライベートクラウドにおいても、オンプレミス型からホスティング型さらにはコミュニティクラウドサービスへと、配備モデルの多様化が進んでいるという。
市場の多様化/細分化はユーザーの需要を喚起し、市場の拡大を促進する。一方、ベンダーにとって「多品種/少量販売」となり、売上原価と販売管理費の効率化が難しくなる。「現時点において、ベンダーはサービスの多様化/細分化によって、売上の拡大を図ることは重要である。一方、継続的な成長のためには、収益モデルの見直しが必要である」とIDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの松本聡氏は述べている。(編集担当:慶尾六郎)