着々と準備進む国民番号制度 IT業界にとっては金鉱か?

2014年05月16日 10:54

 2016年1月の国民背番号制の開始が目前となった。これに向け、各ITシステム企業は背番号制のサービスの提供を加速している。昨年、日立製作所<6501>が「自治体向け番号制度導入支援ソリューション」の提供を開始した。

 そして、本年2月にはNEC<6701>が社会保障・税に関わる番号制度を活用した事業を推進する組織として「番号事業推進室」を設立した。3月にはNTTデータ<9613>が地方公共団体向け業務システム連携基盤「GRANPIATT」を発表した。もちろん富士通<6702>も力を入れている。

 今回、会計事務所と地方公共団体へ情報サービスを展開しているTKC<9746>は14日、市区町村における円滑な番号制度への導入を支援するため「TASKクラウドサービス(番号制度対応版)」(仮称)を提供すると発表した。

 これは、2015年10月にスタートする市町村による個人番号の通知(通知カードの送付)へ対応するとともに大幅な機能強化を図るもの。今年10月には複数団体への先行提供を行い、来春より全国展開を開始する。提供開始に先立ち、7月1日、横浜会場を皮切りとして全国17都市で開催するTASKクラウドフェア」でシステムを初公開する。

 このクラウドサービスの主な機能強化点は、番号制度導入に伴う各種機能の追加、ナビゲーション機能の新規提供、最新ICTへの対応など。また、同社ではこれらのシステム対応に加えて、番号制度導入に伴う市区町村の事務や準備作業を支援するために「条例改正のポイント」「概要設計書」「作業工程表」など各種資料・ツールの提供や研修会の実施のような取り組みも行っているという。販売目標としては、2016年までに200団体への導入を目指す。

 同社もまた12年10月に「番号制度対応推進室」を設置し番号制度と自治体クラウドに関する情報収集および分析・検討を進めており、制度導入に向けた各種支援策を展開してきた。このようにIT企業が本腰を入れるのは、官公庁や各自治体が国民一人一人のマイナンバーや情報を管理するシステム導入費用だけでも膨大なものになるからだろう。

 国民背番号については、日本の国民からはプライバシーの問題や人を番号化するという観点などから反対の声が多い。しかし、もう決まったこと。それに、IT業界にとっては掘り当てた金鉱なのだ。(編集担当:慶尾六郎)