ガートナージャパンは、20日、「2014年上期国内IT投資動向」を発表した。
この調査レポートは、国内企業616社に対し、昨年10月から2か月間実施されもので、同社は国内IT投資の総額は、横ばいだが傾向としては微増にあるとしている。レポートによると、2013年の投資総額として消費税増税の影響等による不回避な外的要因が影響し1.9%の微増が見られたが、2014年は減少し、微増の0.87%にとどまると予測した。今後の投資動向について、新規参入や規制・制度など、ビジネス環境が急激に変化し、その中で持続的な企業経営や将来的な利益確保のために、これまでの「運営」に向けられていた投資分野から「成長」「変革」へ目が向けられていると調査レポートの中で結論づけている。
その一方、「成長」「変革」領域において、増加傾向にあるのは事実だが、「不明」もしくは「予算計上していない企業」もそれぞれ13%、16%にのぼることが分かる。
同社のシニア・アナリスト 成澤理香氏は、「新たなビジネスモデルやIT戦略の転換を実現した具体的な事例を早急に構築し、展開することが重要」とし、その中でも、企業は新たな変革をもたらす技術領域(情報活用やクラウド、モバイル等)に対する高い関心があり、サービス・技術を提供するベンダーもこれに柔軟に対応する必要性を述べている。特に情報活用ソリューションでは、提供する価値を蓄積・管理から分析・アクションにつなげるようなソリューションへとシフトさせる必要があるとしている。
レポートから国内企業は「成長」「変革」分野にフォーカスし投資増傾向にあると読み取れるのは確かだが、「不明」「該当予算なし」など、「運営」分野への投資と比較すると、この分野へのIT投資は、2極化しているともいえる。その点からこのレポートを分析すると、持続的な企業経営や将来的な利益確保目的にIT投資を行うためには、前提として新規参入や規制・制度に対するビジネス環境の不透明感を払拭する必要があるのではないだろうか。この不透明感が経営の意思決定に影響を与えていることも忘れてはならない。(編集担当:久保田雄城)