この日、定時総会で経団連新会長に就任した東レ<3402>の榊原定征会長は前日の報道各社のインタビューで「法人税25%へ道筋をつけたい」と話し、早くも安倍内閣との二人三脚路線を披露。ご祝儀も入ったのか東レは2円高。退任した米倉弘昌前会長の住友化学<4005>は3円安だった。
ピジョン<7956>は2~4月期第1四半期決算の営業利益が40%増の26億円で市場予測の21億円を上回り、経常利益も22%増。通期見通しは据え置いたが485円高で年初来高値を更新し値上がり率7位と買われた。伊藤園<2593>は前日4月期決算を発表し、純利益は8%増で増配。6月早々の猛暑襲来効果もあり12円高で年初来高値を更新した。
小売セクターではH2Oリテイリング<8242>が今後10年で3000億円を投資する長期経営計画を発表したが、「資金をどうやって調達するのか?」と財務に疑問符がついて24円安で値下がり率9位。いつも「言った者勝ち」とは限らない。イオン<8267>は2016年度までに小型・格安型の店舗を現在の約3倍の250店舗に増やすと報じられ4円高だった。
北東北方面ではライバル関係でもあるJR東日本<9020>とJAL<9201>は、共同出資で台湾に拠点を設けて訪日客を誘致する事業に乗り出し、JR東日本は53円高だったがJALは60円安。求人サイトのリブセンス<6054>はストップ高の150円高で値上がり率1位。同3位は美容サロン向けヘアケア用品製造・販売のコタ<4923>で143円高。どれも個人投資家に人気がある。
前日の主役を張った第一生命は、買収予定先の株価が大幅高だったこともあり14円高で4日ぶりに反発した。前日は安倍首相の発言で買われたカジノ関連銘柄はオーイズミ<6428>が38円安で値下がり率6位、日本金銭機械<6418>が48円安で同15位と、1日限りではかなく売られてしまった。
東京市場が「15000円突破」に浮かれる日も「ファイナンス実施組」は株価下落。26年ぶりに発行済株式数の15.8%相当、224億円の公募増資を発表した大王製紙<3880>は83円安で値下がり率1位。114億円の公募増資を発表したDIC<4631>は12円安で同3位。主な使い途が大王製紙が借入金の返済、DICが社債の買入資金では情状酌量の余地なし。6月後半の株主総会が近づくと株価を下げて株主のご機嫌を損ねるファイナンスはできなくなってくるから、今のうち。
東証マザーズ平均は2.54%上昇で5月20日以来破竹の11連騰。NEDOの「平成25年度イノベーション実用化ベンチャー支援事業」に、「成熟シナプス機能を有するヒトiPS細胞由来分化細胞の開発」が採択されたリプロセル<4978>は51円高。日本マイクロニクス<6871>は、東証がこの日から委託保証金率を50%から70%に引き上げた。前場はマイナスだったが後場上昇し、終盤はプラスまで浮上したが惜しくも50円安だった。
この日の主役は「モンスターストライク」のミクシィ<2121>。日本マイクロニクス同様、東証の信用取引規制強化でレバレッジ率が約1.4倍に下がって投資の妙味が薄れ前場はマイナスだった。ところが後場はプラスに転じ終盤、ロケットのように上昇し2120円高、16.48%上昇で5日続伸。もちろん年初来高値更新。少々下げても押し目買いが入って大幅高で終えるミクシィの強さはモンスター級で、以前のガンホー<3765>に代わって今や新興市場の王者に君臨している。(編集担当:寺尾淳)