■増収効果と収益性の向上により、四半期純利益は前年同期の約2倍と好調
積水ハウス<1928>は6月5日、2015年1月期の2~4月第1四半期連結決算を発表した。
売上高は4515億円で前年同期比で26.2%増加。営業利益は363億円で130.4%増、約2.3倍。経常利益は374億円で109.8%増、約2.1倍。四半期純利益は211億円で103.1%増、約2倍と、利益はいずれも2倍を超える大幅増だった。売上高も各利益項目も第1四半期では過去最高を更新した。増収増益で増益幅が増収幅を大きく上回ったのは、前期の潤沢な受注残の工事が順調に進捗した増収効果による収益性の向上と、部材点数を大幅に削減したことが生産・設計・施工効率の改善につながり、それがコストの低減に貢献したためだった。
■受注残を順調に売上 受注も回復基調へ
積水ハウスの主力の戸建住宅の新規受注は2013年の1~9月分は対前年比でプラスだったが、2013年10月分以降は一転して低調だったが、6月5日発表の5月分速報は75%と回復をみせている。また、低層賃貸住宅(シャーメゾン)の受注は今年1月分までは前年同期比プラスで、2~5月分はマイナスになったものの90%台で、ほぼ落ち込みはない。これは消費増税とは別に2015年1月からの相続増税への対策としての賃貸住宅などの建築需要が増しているためだ。第1四半期の売上実績は、豊富な受注残を背景に戸建住宅事業は7.9%増、また、賃貸住宅事業は39.0%増と大きく伸び、営業利益は112.7%増だった。
■高付加価値戦略と増収増益の通期見通しを維持
戸建住宅では、省エネ・環境性能を高めたゼロエネルギー住宅や耐久性が高いライフサイクルコストを抑えた高付加価値住宅を訴求することで、一棟単価が前期比で約70万高まった。生産や工法の合理化と量産効果で利益を出しやすい体質となっている。第2四半期以降は、相続増税による賃貸住宅の需要増に加え、消費増税後の反動減のトンネルの出口が見えてきた戸建住宅も今後、賃金上昇、株高などを背景に、高所得者層から動きが出はじめ、今まで買い控えをしていた層からの需要が高まっていくことが見込まれる。
住宅市場の動きと積水ハウスの一貫した高付加価値戦略の今後の展開に注目したい。
2015年1月期の業績は、売上高1兆8600億円(前期比3.0%増)、営業利益1420億円(7.6%増)、経常利益1490億円(8.1%増)、当期純利益890億円(11.5%増)と増収増益の見通しを据え置いた。(編集担当:寺尾淳)