近年のIT技術の発展によって、経済のグローバル化が加速している。それに伴い、国家という垣根を越えた国際的な産学連携活動の重要性も増している。
政府も、2010年6月に閣議決定した新成長戦略の中で、国際共同研究の推進や科学・技術外交を推進することを方針として掲げている。実際、平成25年度には独立行政法人科学技術振興機構が、文部科学省の実施方針を踏まえたうえで、民間団体の主導による科学技術外交の展開として「科学技術外交の展開に資する国際政策対話の促進」事業を実施するなど、今後益々、国際的な産学連携活動が活発になることが予想されている。
そんな中、2014年6月6日、中国の北京市にある清華大学と、日本の半導体企業・ローム株式会社が、清華大学「清華ローム電子工程館」内において、今年で5年目となる「清華-ローム国際産学連携フォーラム2014(Tsinghua-ROHM International Forum of Industry-Academia 2014:TRIFIA2014)」を開催した。
清華大学とロームの関係は今から8年前の2006年4月、両者は先端技術開発の為の共同研究、技術交流を進めるため、「包括的産学連携契約」を締結して以来、「フォトニック技術を用いたバイオセンシング機構の開発」を皮切りにLSIや半導体素子、オプティカルデバイスやモジュール、バイオセンシングなど幅広いテーマに渡って共同研究や技術交流を行ってきた。
最初の「清華-ローム国際産学連携フォーラム」が行われたのは2010年。以来、毎年その時々の注目テーマを題材とした技術セッションが実施され、パワーエレクトロニクス技術、バイオテクノロジー、センサ&ネットワーク技術、デジタルテレビ等、多くの分野で成果を上げている。今回のTRIFIAのテーマは「パワーエレクトロニクス」「センサ・センサネットワーク」、そして「メディカル」。いずれも日本のみならず、今後の中国で確実にニーズが高まっていくと思われる分野だ。
ロームをはじめ、様々な企業が今、国際的な産学連携活動を進めているものの、現状としては、十分な水準に達しているとは言えないのが現実だ。世界の知を取り入れるとともに、日本が有する知と技術を海外の技術開発ニーズに発信することは、今後の日本経済及び科学・技術の発展に大きく寄与するものであることは間違いない。ロームのような取組みが成功事例となって、日本のエレクトロニクス業界が活性化することを期待したい。(編集担当:石井絢子)