東北から関東まで幅広い範囲に大きな傷跡を残した東日本大震災から今年で3年が経過した。この震災で特に大きな被害を受けたのが、東北の太平洋沿岸地域、三陸海岸だった。津波によって漁船や漁具の流出に遭いその後も震災のトラウマに苦しんだこの三陸海岸が、世界からの支援を受け復活を遂げようとしている。
復興庁によれば、被災した宮城県、岩手県、福島県の東北3県の2013年の漁獲量は、震災前の10年の7割程度まで回復し、水産加工施設も約8割が業務を再開している。生産と加工が震災前の水準を取り戻しつつある今、課題は震災によって失われた販路の確保と開拓によって売上を回復することに移っている。
この販路開拓のため、意外なところから手が差し伸べられた。先月完成したいけす施設「アル フルザ」は、気仙沼や陸前高田の両仕方買い取った活魚を一時保管し、首都圏や仙台権に直接販売を行う施設だ。なんとこの施設の建設を助けたのは中東のカタール国だった。
直接販売とは、生産者と販売者が直に結びつき、飲食店や鮮魚店、インターネット通販を通じて生産者が消費者へと新鮮な魚を提供する、水産業の売上回復のために期待が高まっている販売方法だ。カタールはこの直接販売を行う施設を、震災前には約8割もの世帯が水産業に携わっていた宮城県気仙沼市唐桑町に同国の震災復興支援基金「カタールフレンド基金(QFF)」から約1億6,000万円の助成をして完成させた。同国は施設の建設のみならず、地元の漁師の支援を行い、長期的には町と周辺地域の活性化を目指すという。
「アル フルザ」とは、アラビア語で「桟橋」を意味している。これからの三陸海岸に必要なのは、桟橋が船を海から迎え入れるように、多くの人を呼び込み、惹きつけることだ。この施設は完成後、地元漁業関係者が運営していく予定だ。新たな施設と新たな販路、この施設を中心として三陸海岸が成長する新たな漁業の形を示してくれることを期待したい。(編集担当:久保田雄城)