コミュニティデザインは機能するのか

2014年06月08日 12:57

 コミュニティデザインという考え方がまちづくりの現場で広まっている。「人のつながり」をデザインすることで、離島から大都市に至るまで、まちとそこに住む人たちを元気にしようとしている。実際、堺市の市街、鹿児島の大手百貨店が撤退した後の商業施設、兵庫県立有馬富士公園などの再生が行われている。兵庫県立有馬富士公園では、さまざまな団体が公園に主体的にかかわることで活動できるようになり、来園者も増えているそうだ。

 この仕掛け人としてstudio-L代表の山崎亮氏が注目を浴びているコミュニティデザイナーとして活躍し、人がつながる仕組みを設計しようと全国を駆け回る日々だそうだ。ハコモノやモノを作ることを重視してきたこれまでの地域のまちづくりから、コミュニケーションを重視し、自分たちの地域社会を考えようと発信している。隠岐郡海士町の総合計画作りでは、従来の総合計画とは違った形で、住民目線での計画も作られた。

 このコミュニティデザインは、とても素晴らしい取り組みだ。住民がまちのことを知り、学び、今後を考える。その活動に住民は動機付けられる。人と人がその過程で会う、話をするなどでつながるのだ。新しいまちづくりのあり方を提示してくれただろう。しかし、デザインした後はどうなっているのか。有馬公園、建設にあたっては素晴らしい活動をしたと聞くものの、市民参加型のパークマネジメントというより、子供向けのモニュメント以外は閑散としているという話しもある。たしかにデザインしたことは素晴らしいが、その後の運営はなかなか難しい。毎日の取り組み、積み重ねによって住民が生活を潤い豊かなものにし、幸福度を向上させ、役割を発揮でき、記憶を形成していく。そうしたデザイン後のマネジメントに注力していくべきではないだろうか。(編集担当:久保田雄城)