前週末6日のNYダウは88ドル高の高値引けで2日連続史上最高値更新。NASDAQは25ポイント高だった。5月の雇用統計の非農業部門就業者数は前月比21.7万人増で21.8万人の市場予測とほぼ同じで4ヵ月連続の20万人台。失業率は4月と同じ6.3%で市場予測の6.4%よりも良かった。景気後退懸念も金利上昇懸念も出ないちょうど良い加減の「ゴルディロックス」と呼ばれる水準で、それを外したらマーケットは3匹のクマよりも怖くなる。4月の消費者信用残高は市場予測の150億ドル増を大きく上回る268億ドル増。JPモルガンが0.6%高、バンカメが1.0%高、キャタピラーが1.1%高、デュポンが0.4%高など金融株も景気敏感株も上昇したが、AT&Tが0.2%安など通信・ハイテク系の一部には売りが出ていた。9日朝方の為替レートはドル円が102円台半ば。ユーロ円が140円近辺で、円安に振れていた。
6日のシカゴCME先物清算値は15200円。取引時間前に発表された1~3月期の国内総生産(GDP)改定値は速報値+5.9%を0.8ポイント上方修正して前期比年率換算+6.7%。駆け込み需要があった内需が+1.9ポイントと好調で、下方修正の市場予測を良い方に裏切った。しかし消費増税前の3月までの話はもう遠い昔のことのよう。
外資系証券の売買注文動向は買い越し。日経平均始値は127.07円高の15204.31円で、4月3日のザラ場戻り高値の15164円を上回り15200円台に乗せて始まる。TOPIXは1240台に乗せてスタート。しかし15200円台は最初の数分だけで徐々に値を切り下げ、午前9時42分に15154円で底を打ち15160円近辺で小動き。TOPIXも9時台のうちに1240を割り込んだ。10時台は一段安で10時10分に15138円まで下げる。8日に発表された中国の5月の貿易統計はドルベースで輸出が7.0%伸び、輸入は1.6%減。深刻な不動産バブル崩壊の影響下にある上海市場は続落で始まるが香港のハンセン指数はプラスでスタートした。日経平均は少し値を戻し、10時台後半以降は15160円前後の水準で推移する。前引は15156円だった。
後場も主力銘柄の利益確定売りで上値を抑えられ伸び悩む展開。今週末には日銀会合とメジャーSQを控える。15150円前後から徐々に値を刻んで下げ午後1時14分に15116円で安値を更新するが15100円台は堅持し、その後は15120~15150円近辺でずっと小動きする。5月の企業倒産は20%減でバブル期以来の低水準。5月の消費動向調査の消費者態度指数は4月から2.3ポイント上昇して39.3。3ヵ月ぶりの改善で「反動減からの早期回復」の気配あり。しかし日経平均は薄商いの中で全く反応しない。終盤は大引け直前に下落し、TOPIXはマイナスまで落ちる。日経平均終値は46.76円高の15124.00円と反発。3月11日以来の終値15100円台に乗せた。日中値幅は90円だった。TOPIXはかろうじてプラスの+0.21の1234.78で続伸。JPX日経400はマイナスで終了。売買高は17億株、売買代金は1兆5672億円と前週よりも商いが薄くなった。
東証1部の値上がり銘柄は約半数の922、値下がり銘柄は708。33業種別騰落率は18業種が上昇、15業種が下落。プラス上位は倉庫、空運、不動産、その他製品、海運、ゴム製品など。マイナス下位は鉄鋼、電気・ガス、パルプ・紙、銀行、精密機器、小売などだった。
日経平均採用225種は値上がり116銘柄、値下がり90銘柄。プラス寄与度1位は東京エレクトロン<8035>で+6円、2位は京セラ<6971>で+4円。マイナス寄与度1位はKDDI<9433>、2位はセコム<9735>でともに-2円だった。
メガバンクはみずほ<8411>は1円高だが三菱UFJ<8316>は5円安、三井住友FG<8316>は45円安で利益確定売り優勢。野村HD<8604>も3円安だった。トヨタ<7203>、日産<7201>はともに9円高、マツダ<7261>は6円高、三菱自動車<7211>は大和証券が新規にレーティング「3」をつけ5円高。中国の第一汽車に部品を供給して中国で合弁を検討と伝えられたダイハツ<7262>は16円高。いすゞ<7202>も15円高と元気だったが、ホンダ<7267>は16円安と逆行安した。
JPモルガンは日立<6501>のレーティングを引き下げ、東芝<6502>のそれを引き上げた。終値は日立は11円安で3日続落し東芝は6円高。パナソニック<6752>はアメリカの投資雑誌「バロンズ」の日本株特集で、不採算事業から積極撤退し株主還元とキャッシュフローの改善を真剣に考えるとほめられ株価は木に登り31円高で6日続伸。売買代金10位。ソニー<6758>は15円高。ルネサスエレクトロニクス<6723>はJPモルガンが投資判断、目標株価を引き上げ12円高。カーナビにスマホ用のアンドロイドOSを搭載してソフト開発費用を削減するクラリオン<6796>は3円高で年初来高値更新。低価格化でカーナビの逆襲なるか?
住友不動産<8830>は11年前に分譲した横浜市のマンションが傾く欠陥が発生し住民に転居を要請する事態になった。施工は熊谷組<1861>。住友不動産は追加緩和期待という別の要素があり94円の大幅高で不動産セクターを業種別騰落率3位に押し上げたが、熊谷組は売買高7位と売り浴びせられ16円安で値下がり率3位。橋梁のボルトのゆるみを検知するセンサーを開発したミネベア<6479>は20円高。建機のコマツ<6301>は46円高で年初来高値更新と好調だった。
前週良かった鉄鋼セクターは業種別騰落率最下位で、新日鐵住金<5401>は6円安、神戸製鋼<5406>は2円安。バルチック海運指数が前週4日続伸し海運セクターは業種別騰落率5位。日本郵船<9101>は値動きなしだったが商船三井<9104>は5円高、川崎汽船<9107>は2円高。コスモ石油<5007>と東燃ゼネラル石油<5012>は千葉の製油所を統合すると報じられコスモ石油は5円高で年初来高値更新、東燃ゼネラル石油は1円高。経済産業省は石油元売り各社の製油所の設備過剰を解消するために再編を推し進める方針を打ち出している。