「ル・マン24時間レース」の王者Audiの苦悩? トヨタ、ポルシェの挑戦を跳ね返すか?

2014年06月13日 07:37

Audi e_tron

Audi R18 e-tron quattro。これまでで最も軽量、かつ高い燃費性能を実現した4リッターV6・TDIディーゼルハイブリッド。昨年に比べてレース中の平均燃費がおよそ40%も向上しているという

 1999年以来、「ル・マン24時間レース」に参戦して12勝を獲得するWEC(世界耐久選手権)の王者アウディが、2014年「ル・マン24時間レース」(決勝レースは6月14日・15日)開幕直前にステートメントを発表した。

 「ル・マン24時間レース」の前哨戦とされる、今季のWEC2戦、シルバーストーン、スパフランコルシャンの6時間でトヨタの後塵を拝した王者のコメントである。

 キーワードは「アウディ、過去最高の燃費性能を武器に2014年の“ル・マン”を闘う」である。チーム・アウディは1999年から同レースに参戦している。今年のマシンは、これまでのAudi R18 e-tron quattroで最も軽量かつ、高い燃費性能を実現。大会レギュレーションにより、他の参加車比で最大30%の低燃費化が求められるという厳しい状況にあっても、アウディは6月14-15日に開催されるル・マン24時間レースで、13回目の総合優勝獲得に向けて発進する。

 2006年からレースカーとして画期的なTDI(直噴ディーゼル)エンジンを採用して5回の総合優勝を獲得。2012年に登場したディーゼルハイブリッドモデルのAudi R18 e-tron quattroは同レースで連続優勝している。

 今年2014年から、抜本的に書き換えられた新しいレギュレーションによる燃費規制のクリアが大きな課題となる。新基準はAudi R18 e-tron quattroに最大30%におよぶ大幅な燃費性能向上を求めており、もともと燃費性能が高いマシンに多くの負担がかけられた恰好となっている。

 アウディはこの課題を克服するために2014年モデルのTDIエンジンを4リッターV6ユニットとした。優れた燃費性能を持ったエンジンに加えて、エアロダイナミクスなどを追求して低燃費を実現したという。2006年にAudi R10 TDIに搭載された5.5リッターV12エンジンと比較すると、レース中の平均燃費がおよそ40%も向上しているという。

 今年のル・マンでAudi R18 e-tron quattroが消費できる燃料は、1ラップあたり138.7メガジュール。ガソリンエンジンを使用するトヨタやポルシェに比べて100km走行あたり6.16リッターも少ない燃料しか使えないことを意味する。2012年のレース結果をベースに、トップ車両が24時間で378ラップすると想定すると、Audi R18 e-tron quattroは、ガソリンエンジン搭載車より317.52リッターも少ない燃料で走行する必要がある。

 つまり、アウディにとって16回目の挑戦となる今年の「ル・マン24時間レース」は、これまでになく厳しいハードルが与えられたことになる。第82回「ル・マン24時間レース」決勝は6月14日の15時(現地時間)に始まる。レースの模様は、ユーロスポーツが24時間連続で放映し、www.audi-motorsport.comで、Audi R18 e-tron quattroのコクピットの模様ほか、多様なデータをライヴで提供する予定だ。(編集担当:吉田恒)