日本銀行が2013年4月に導入した政策「質的・量的金融緩和」だが、これは2年程度の期間を念頭に、消費者物価の前年比上昇率を2%程度で安定させることを目標としたものであり、これまでの政策の枠組みから大きく逸脱した金融緩和政策であることから、「異次元緩和」とも呼ばれている。そんな「異次元緩和」であるが、日本銀行は13日にそれを継続させるとの発表を行った。
日本銀行は13日、金融政策決定会合を開き、「質的・量的金融緩和」により物価上昇率が目標とする2%程度に向けて順調に推移しているとして政策の継続を決定。また、4月に実施された消費税増税の後も景気や物価動向は日本銀行の想定の範囲内にあることを確認した上で、景気の基調判断を「緩やかに回復している」に据え置いた。
同日に行われた金融政策決定会合では、4月に実施された消費税増税が景気や物価動向に対してどういった影響を及ぼすかについて点検が行われ、増税後、個人の消費は消費税増税前に発生した駆け込み需要に伴う反動減によりマイナスとなっているものの、日本銀行の想定を超えるような影響はなく、夏ごろには回復傾向に転じるのではないかとの見解を示した。
日本銀行の分析によれば、個人の消費の基調は底堅く、設備投資にも増加傾向が続いているとのこと。そして前年比上昇率2%程度の安定を目指す物価に関しても、消費税増税分を除いて前年比1.5%の上昇。この上昇率は5月以降から徐々に縮小するとみられるものの、1%台前半をキープし、年内後半には上昇に転じるとの見方を示している。
また海外経済に関しては、アメリカの雇用情勢が改善されつつあることを踏まえた上で、「回復しつつある」から「回復している」にその判断を引き上げた。
今回、日本銀行の基調判断は「緩やかに回復している」に据え置かれたわけだが、しかしまだまだ生活レベルでその「回復」を実感できるに至ってはいない。継続が決定された「異次元緩和」が今後どういう成果をあげるのか、それにより我々がその「回復」を実感できるかどうかがかかっている。(編集担当:滝川幸平)