12日のNYダウは109ドル安で2日連続3ケタ下落。NASDAQも34ポイント安だった。小売売上高も新規失業保険申請件数も市場予測より悪かったが、最大の悪材料は「忘れた頃のイラク」。イスラム過激派の反乱分子が北部キルクークの油田地帯を占領し首都バグダッドにあと100キロまで進攻。NYMEXのWTI原油先物7月物が2.0%急騰して約9ヵ月ぶりの高値になった。しかし先進国の原油備蓄は余裕があり夏の需要期前のガソリン価格への影響は限定的。それでも利益確定売りには絶好の口実になった。石油のエクソンモービルは0.3%安だがシェブロンは0.7%高。航空燃料の高騰が懸念されユナイテッド・コンチネンタルは5.9%、デルタ航空は5.4%、アメリカン航空Gは4.9%それぞれ下落した。13日朝方の為替レートはドル円が101円台後半、ユーロ円が137円台後半で、地政学的リスクを回避して円が高くなっていた。
サッカーのFIFAワールドカップ・ブラジル大会が開幕し、ブラジルが快勝して現地のムードは最高潮。シカゴCME先物清算値は14845円。「メジャーSQ」の日の日経平均は142.54円安の14830.99円と安く始まり、すぐにSQ値14807.72円が出た。SQ値を低くしたい勢力はイラクの反乱分子にも助けられてミッション完了で、日経平均は「寄り安」で上昇する。午前9時20分に14882円まで上がったところで頭を抑えられ、おおむね14850~14880円のレンジで変動しなかなか上値を追えない。11時台に水準を少し上げて14880円前後で小動きし、11時9分に14883円の高値をつけて前引は14878円。
正午前に日銀の金融政策決定会合の結果が発表され、「鉄板」の予想通り金融政策は現状維持で、景気判断は据え置き。「13日の金曜日」の大きなイベント2つを通過して為替はやや円安方向に戻し、後場は14900円台を回復して始まる。情勢が変化したのが午後1時すぎで、為替の円安を伴い先物主導で棒上げし1時12分にプラスに浮上。TOPIXもプラスにタッチした。政府・与党が「2015年度から数年以内に法人税を20%台に引き下げる」と骨太の方針に盛り込む方針を決めたと報じられていたが、その件で安倍首相が午後3時すぎに記者会見を開くと伝わったためだが、同時刻の黒田日銀総裁の記者会見に根拠もなく期待する「日銀プレイ」「イベントドリブン」の気配もあり。日経平均は少しもたついたが1時30分に15000円を突破した。
4月の鉱工業生産指数確報値は速報値より0.3ポイント下方修正の99.3で3月比2.8%低下。稼働率指数も103.0で2.2%低下したが、影響はなし。2時台、日経平均は高値を何度も更新し、TOPIXは1240台に乗せる。ドル円が102円に迫り、2時30分前には15100円にもタッチした。中国の5月の小売売上高は市場予測を上回り、鉱工業生産は市場予測と同じと悪くない内容。終盤は15100円をはさんで大引けまでしきりに上下動した末、終値は124.31円高の15097.84円と反発し、3勝2敗、前週末6日の終値から20.60円のプラスで今週の取引を終えた。週間では4週連続プラス。SQ値を一度も下回らず取引が終了し「まぼろしのSQ」出現。まぼろしの「14807円」はこの夏、下値のサポートラインになってくれそうだ。後場の法人減税期待が前場のイラク情勢懸念に打ち勝って3ケタ安から3ケタ高まで動き、日中値幅は291円もあった。TOPIXも+6.22の1243.97と反発。メジャーSQなので売買高は27億株、売買代金は2兆6373億円と多くなった。
東証1部の値上がり銘柄は全体の70%を占める1272で、値下がり銘柄は402、変わらずは140だった。33業種別騰落率は上昇28業種、下落5業種。プラス業種上位は鉱業、証券、繊維、情報・通信、医薬品、電気機器など。下位は電気・ガス、ゴム製品など。マイナス業種は空運、石油・石炭、ガラス・土石、陸運、輸送用機器だった。
日経平均採用225種の値上がりは167銘柄、値下がりは44銘柄。プラス寄与度1~4位は「日経平均寄与度四天王」が揃い踏みし、合計寄与度+53円で124円高の約42%を占め、先物主導の上昇を裏付ける。マイナス寄与度1位は日東電工<6988>で-2円、2位はホンダ<7267>で-1円だった。
メガバンク3行は前場は揃ってマイナス、大引けは揃ってプラス。野村HD<8604>は10円高で3日続伸し証券セクターは業種別2位だった。アイフル<8515>は500億円の返済猶予で金融支援を続行する内容で銀行団と大筋合意。前場に年初来高値を更新しながら直後マイナスに落ち終値は3円安。売買高1位、売買代金2位と相変わらずの大商い。自動車大手は朝方の円高進行でトヨタ<7203>26円安、ホンダ19円安、富士重工<7270>1円安など不振だった。50型以上では4Kテレビのシェアが20%を超えたというニュースがあり、ソニー<6758>は6円高、パナソニック<6752>は25円高、東芝<6502>は3円高、シャープ<6753>は小・中型の高画質液晶パネルの増産に300億円を投資すると報じられ8円高。日立<6501>も8円高で終えていた。