面接で「本籍・出生地聞かれた」3人に1人、就職差別の恐れも

2014年06月16日 12:31

 「面接で何を聞かれたか」は、就活生にとって重大な関心事だ。「愛読書を聞かれたらこう答えるのが正解」「尊敬する人物を聞かれたら……」など、様々な噂やマニュアルが飛び交う。実は、こうした質問は「就職差別」につながるおそれがある。だが一部の企業では、未だになくなっていないようだ。

 連合が今年4月、就活の経験がある20~25歳の男女1000名(学生500名、この4月から就職した新社会人500名)に対しアンケートを実施したところ、面接で「本籍・出生地に関すること」を聞かれた人は34.8%、「家族に関すること(職業、続柄、健康、地位、学歴、収入、資産など)」を聞かれた人は40.1%に上った。

 厚生労働省によると、採用活動は本来、応募してきた人の「適性・能力のみ」を基準として行わなければならない。つまり本人に責任のない事柄である「本籍・出生地」や「家族、家庭環境に関すること」を尋ねた場合、企業側にその意図がなくても就職差別につながる可能性があるということだ。また、本人の「宗教・支持政党」「人生観・生活信条」「尊敬する人物」「購読新聞・雑誌・愛読書など」について尋ねた場合も、公正な採用という観点からはルール違反となるおそれがある。

 ところが連合の調査では、「人生観、生活信条(例:あなたの信条としている言葉は何ですか?など)」を聞かれた就活生は31.2%、「尊敬する人物に関すること(例:尊敬する人物は誰ですか?など)」を聞かれた割合は33.1%にのぼった。「購読雑誌・愛読書」を聞かれた就活生も17.3%いる。

 「尊敬する人物は?」「信条としている言葉は?」といった質問は、ごくありふれたものだ。面接は履歴書と、自己アピールなどをまとめたエントリーシートをもとに行われる。趣味の欄に「読書」と書けば、自然な流れで「愛読書は?」と聞かれることもあるだろう。こうした質問の全てを「就職差別」としていいのかは、微妙なところだ。「本人の適性・能力のみ」を見極めるために必要な質問の範囲がどこまでなのかは、難しい問題である。もちろん大前提として、面接官が軽はずみに本人のプライバシーに立ち入った質問をしないよう、極めて慎重になるべきなのは確かだ。何がルール違反かを決めるのは、企業側ではないのだから。(編集担当:北条かや)