生活の党の小沢一郎代表は「常識的にはほぼあり得ない話で、集団的自衛権の行使容認に国民がノーと言えないような形のものを、誰が作文したのか知らないけれども、作ったということではないか」と安倍晋三総理の国民に向けた5月の記者会見での説明やその後の憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認に向けた動きを強く非難した。
生活の党の鈴木克昌代表代行は、今年3月にすでに解釈改憲での集団的自衛権容認には反対との党としての姿勢を明確にしている。この中で「安倍政権は戦後一貫して『保有しているが行使できない』としてきた集団的自衛権に関する憲法解釈を、いとも簡単に一内閣の権限のみで変更しようとしている。このような政治姿勢は国家権力を縛るものという憲法の本質である立憲主義を否定し、国会の存在意義を軽視するものであり、到底容認できるのものではない」と表明。
そのうえで「憲法は国家のあり方や国法秩序の基本を定める最高法規として安定性を求められる性質のもの。そもそも第9条(戦争の放棄)の解釈は、戦後から現在までの長年にわたる国会審議において、いわば国会と政府の共同作業によって練り上げられてきたものであって、国会審議を経ることもなく、一内閣が行う閣議決定などによって軽々に変更が許されるものではない」と指摘。
「生活の党としては第9条が容認している自衛権の行使は、我が国が直接攻撃を受けた場合及び周辺事態法にいう日本の安全が脅かされる場合において同盟国である米国と共同で攻撃に対処するような場合に限られるものと考える。一方、日本に直接関係のない紛争のために、自衛隊が同盟国の軍事行動に参加するということは、歯止めなき自衛権の拡大につながりかねないものであって、現行憲法第9条は全くこれを許していない」としている。
直近の記者会見で、小沢代表は「集団的自衛権の15事例というのは、集団的自衛権とは関係ないことまでいっぱい入っているけれども(米艦船に日本人が乗船していようとも、乗船している人がだれであろうと)アメリカの艦船を攻撃することはアメリカとの戦争状態になるのだから、自衛隊が行って守るとか守らないとかいう話ではなく、事例としてもあり得ないけれども、仮にあったとしてもアメリカの艦船を今攻撃する国というのはまずこれま、あり得ない」と総理の取り上げた事例事態が情緒的に国民に訴えるもので、現実的でない事例で国民に呼びかけたものとした。
小沢代表は「日本人を運んでいるということもあり得ないし、それを攻撃する国があるということもあり得ない。だから、日本人の命を守るのだ、いや何をするのだということの一つの作り話みたいな、国民がノーと言えないような形のものを、誰が作文したのか知らないけれども、作ったということではないか」と批判した。(編集担当:森高龍二)