米ムーディーズが18年に日本経済が韓国に追い抜かれると予測 過剰反応すべきではない

2014年06月21日 18:57

 今月、アメリカの大手債権格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが、韓国が4年後の2018年に購買力平価調整後の国民1人あたり所得で日本やフランスを追い抜く公算が高いとの見方を示した。韓国の国民1人あたり所得が12年の3万1950ドルから18年には3万8451ドルに7急増すると予想しているのに対し、その一方で日本の成長は3万7826ドルに留まると予想されている。18年には韓国に日本は追い抜かれるとの予測だ。

 「日本が韓国に追い抜かれる」-2009年中国にGDPで追い抜かれてから多くの日本人が次はどこの国に追い抜かれるのかと戦々恐々としているように見える。しかし、表面的な数値だけでなく実際の内容を見ていくと過剰反応すべきではない理由が見えてくる。

 今回の予測では、韓国は過去5年間1人あたり所得が3万ドル(約307万円)を上回る32カ国の年平均経済成長率の平均を超える成長を続けており、今後5年間も「群を抜いた」成長率を維持すると分析されている。この高い評価の根拠としては「堅実な財政政策」「技術革新を次々と生み出す企業部門」などが挙げられているが、これには疑問を挟まざるを得ない。

 「堅実」と言われている韓国経済は実際には多くの問題を抱えている。特に、96%という異常な貿易依存度の高さ(日本は27%、中国は40%)は世界経済の影響をそのまま受けかねない深刻な問題だ。さらに、韓国経済を支える「技術革新を次々と生み出す企業部門」も、13年末には同じムーディーズから次々と格付けを引き下げられていた。

 それでは、なぜ韓国の躍進を予測するレポートが出されたのだろうか。その理由は、冒頭に挙げた予測の基準にある。今回の予測は、「購買力平価調整後の国民1人あたり所得」で計算されているが、これは海外での所得も含むものだ。外需への依存度が高い韓国は、海外での所得も含むこの指標での評価では有利だった。一方で一般的な指標であるGDP(国内総生産)の予測(14年 IMF調べ)では、18年時点でも日本が5兆5,340億ドルであるのに対して韓国は1兆7,388億ドルと約3分の1となっている。要するに、判断をする基準が変われば、結果は大きく異なってしまうということだ。決して今の状況に甘んじていて良いと言うわけではないが、必ずしもこのような評価に一喜一憂する必要はないだろう。(編集担当:久保田雄城)