資産公開法改正案を提出 イメージ回復ねらう? みんなの党

2014年06月22日 08:59

 今月、みんなの党が国会議員資産公開法改正案などを参院に提出した。同一の相手から1000万円以上の貸付金または借入金がある場合に相手の名前や金額の公開を義務付ける「特定貸付金等報告書」と同一の相手からの贈与が1000万円以上となるときに公開を義務付ける「特定贈与報告書」の新設を定めたこの改正案は、同党の渡辺喜美前代表の8億円借り入れ問題を受けて検討されたものだ。

 同時に政治資金に使った自己資金を収支報告の対象とするために可能な限り報告義務のある資金管理団体に取り扱わせるよう努めることを定めた政治資金規正法改正案も提出しているが、これも「個人口座」や「妻の口座」を釈明に使い疑惑を生んだ渡辺前代表の問題を踏まえたものだ。

 そもそも、今回みんなの党が改正案を提出した国会議員資産公開法は抜け穴だらけの「ザル法」だ。たとえば今年参議院議員を対象に行われた資産公開では全議員121名中21名が「資産ゼロ」と公表しており、資産公開の対象とならないよう工夫を凝らす余地がある面が否めない。同法では本人の名前で持っている資産に限って公開が義務付けられており、妻の口座に資産を移した渡辺前代表の借り入れは公開の対象とならなかった。このような抜け穴を埋めようとするみんなの党の考え方は評価に値するだろう。

 しかし、これらの法案の提出をきっかけに「クリーンな政治」を前面に出していたかつてのイメージを取り戻すことを狙うみんなの党の思惑がうまくいくかどうかは別の問題だ。現在の情勢を見る限り、その道のりは険しそうだ。今回の法案提出にあたりみんなの党は他の野党にも共同提出の働きかけを行ったが、どの党とも共同提出には至らなかった。同党の仲西健治政調会長は「時間の制約」と説明しているが、みんなの党のイメージ戦略につき合わされたくない他党の醒めた目が理由の一端にあったことは明らかだ。イメージ回復が出来るかどうかは、まずは真摯に渡辺前代表の問題の解明に取り組み、国民や協力を目指す他党にクリーンな政治の実現のために汗をかく姿勢を見せることができるかどうかにかかっているだろう。(編集担当:久保田雄城)