先日、共働きの割合が最も高いのは福井県、女性の就業率も全国2位が同県という国勢調査の産業に関する集計結果が発表された。日本海の地方都市ということもあり、その数字に驚きを感じた人も少なくないだろう。背景には全国2位という子。親、祖父母、3世代の同居率の高さが考えられている。合わせて県が少子化対策の一環としての育児サポートを推し進め、子育て環境を整えたこともあるだろう。子育てを中心にした就労環境や家族形態が求められる今、福井県に倣うことも多いかもしれない。
今回、内閣府が理想の家族の住まい方を調査した結果によると、祖父母と近居を望むという回答者が最も多く、31.8%にのぼることが分かった。同居を望むという回答者を合わせれば、全体の5割を越える結果となる。このことから、祖父母との交流に積極的な家族の形態が見えてくる。合わせて、調査結果では祖父母による育児や家事の協力を求めるという回答が78.7%だった。核家族化がすすみ、昔の大家族の形態が崩れ去ったのは確かだが、今、新たに若い世代が子育ての協力を求めて、祖父母に大いなる期待を寄せているようだ。
働くママには欠かせない育児サポーターとして、祖父母の存在は非常に重要だ。育児に積極的な男性を「イクメン」と呼ぶように、「イクジイ」「イクバア」という言葉も定着している。共働き夫婦にとって、子どもと過ごす時間が少ないことは最大の懸念だ。生後3カ月から保育園に子どもを預けて働くママの体験で、子どもが初めて立った瞬間を目撃するのは自分ではなく保育士だったという話もある。平日の子どもとの接触は、仕事を終えた後の夕食と寝かしつけのみ。交流時間の短さが夫婦の罪悪感を生み、さらには子どもの情緒面の発達にも不安を覚える。そんなとき、身内の愛情で包んでくれる祖父母の存在は、夫婦の心強い味方として目に映る。
その中身は、定年退職した祖父母が、日中、共働きに出る夫婦に代わって孫の面倒を見る昼型育児が主だろう。夫婦の帰宅に合わせて孫を返し、夜は別々の家で過ごす。場合によっては夕食の用意まで祖父母がこなすことがあるが、基本的には干渉しすぎない。プライバシーを守り、それぞれの価値観を反映した生活スタイルを維持することで、お互いのびのびと過ごすことができるだろう。これからは「近居」が新しいキーワードとなりそうだ。(編集担当:久保田雄城)