村田製作所が、LED照明向け標準電源モジュールの量産を開始すると発表。この電源モジュールは、照明用通信規格DALI(IEC62386)に準拠しており、BEMSやHEMSにおける複数照明のシステム制御に最適だという。
新規オフィスビルなどを建築するにあたり、室内環境とエネルギー性能の最適化を図るため、「タスク&アンビエント照明システム」の採用が増加している。「タスク&アンビエント照明システム」は、手元の照明(タスク)と広範囲を照らす照明(アンビエント)の2種類を調整することで、作業面の明るさを十分に確保しながらベース照明の照度レベルを低く設定し、無駄なく快適な視環境を実現するシステムのこと。「タスク&アンビエント照明システム」では、通常コンセント型が多いタスク照明も一括でコントロールするために、すべての照明を無線で接続。一方、LED照明において無線制御による調光やON/OFFを実現するためには、LEDを駆動する電源回路が無線回路と連携動作する必要がある。そこで、無線通信モジュールと直結可能な電源モジュールを「標準電源」として量産を開始し、シームレスな照明システムの開発をサポートするという。
同社では、電源モジュールによるシステム制御の通信手段としてDALI方式を採用。DALI方式では、各電源モジュールに対して個別にアドレスを設定し、1台ずつの照明制御を行うことで、快適性と省エネの両立を実現している。また、双方向の通信により使用エネルギーの見える化も可能になるという。DALI規格はIEC国際標準規格であり、これに準拠することで多くのユーザー様が各自で検証・使用することが可能。またAC90~267Vに対応しており、全世界での使用することができ、待機時電力も通常の2Wから0.2W程度まで抑えることで省エネに貢献する。
建物の低消費電力化の手段として主流となっている照明のLED化。「タスク&アンビエント照明システム」はそれをさらに一歩進めたものと言える。しかし現在のところ、電通やオムロンなど一部の企業で採用されているにすぎない状況にある。今回の電源モジュールの量産が、普及を加速させる起爆剤となるのか、注目が集まるところであろう。