日本経済団体連合会の榊原定征会長は政府が示した「経済財政運営と改革の基本方針2014」(骨太の方針)での成長戦略について「企業のイノベーションを促すとともに、国際競争力の向上に資する画期的かつ多様な施策が盛り込まれている」などとして「経済界の考え方と軌を一にするものであり、高く評価」した。
榊原会長は安倍晋三総理が法人実効税率を20%台にまで、来年度から引き下げていく方針を明確にしていることについて「日本の立地競争力を強化するとともに、わが国企業の競争力を高めるために実効税率を国際的に遜色ない水準とする観点から、来年度から数年で20%台まで引き下げるとの画期的な方針が示された。安倍政権の強い決意の表れと受け止めており、年末の成案においては、来年度からの実質減税が実現するよう期待する」とした。
安倍総理は法人税引き下げについて「国際競争に日本の企業が生き残っていくことによって雇用の場を維持し、国民生活の向上に貢献していく」ことができるとし「来年度から引き下げを開始する。財源もしっかり確保する」と意欲を示している。
一方、連合の神津里季生事務局長は「もっぱら企業や投資家の目線に立ち、経済界の要望を中心に取りまとめたもので、国民生活の底上げや将来不安の解消、雇用の安定と質の向上などはないがしろにしている」と遺憾の意を表明。
そのうえで「政府は、いまだ景気回復を実感できない多くの生活者・働く者の切実な声を真正面から受け止めるべき」とした。
また「非正規雇用労働者の処遇改善や正規雇用化促進、最低賃金の引上げ、子ども・子育て支援や子どもの貧困対策など、評価できる点は一部あるものの、いずれも具体性に乏しく実効性は期待できない。一方で、規制改革として、多様で柔軟な働き方の実現の名のもとに労働者保護ルールの改悪を盛り込むなど、政策全体としての整合性がない」と指摘した。(編集担当:森高龍二)