近年、電車やバス内でのベビーカー利用に対し、理解や配慮を求める動きが高まっている。3月には国交省が「ベビーカー利用にあたってのお願い」と「ベビーカーマーク」を公表。5月にはこれらの啓発キャンペーンが展開された。
電車やバス内でのベビーカー利用については、様々に意見が分かれる。マイナビニュースが6月3日、全国の男女300名(男性107名、女性193名)に「電車の中でベビーカーに関して『迷惑だ』と思ったことはありますか」と質問したところ、「はい」との回答が33.3%にのぼった。
「満員電車では勘弁して欲しい」「(通勤ラッシュ時は)女性専用車両に乗るべき」といった非難の声や、「混んでいるのにベビーカーを畳まずに突入してきた」といった、ベビーカーをたたまない親への不満が目立つ。「『すみません』の一言があるだけでも印象が違う」など、周囲への配慮を求める声も寄せられた。ストレスの溜まるラッシュ時には特に、ベビーカーへのイライラを募らせる人が増えるようだ。
06年にバリアフリー法ができて以来、駅内ではエレベーターの設置が進むなど、ベビーカー使用者のための環境は少しずつ整備されてきた。とはいえ、ベビーカーを押して電車に乗るのは至難の業だ。国交省の「公共交通機関等におけるベビーカー利用に関する協議会」がまとめた報告によると、子連れの保護者は、ベビーカーを含めると約20kgの荷物を抱えて移動している計算になるという。外出時には、おむつなど子供用の荷物もかさむ。電車内で子供がぐずり出した時の対応など、苦労は多い。駅では1台のエレベーターに長い行列ができたり、高齢者とのスペースの奪い合いになったり、ベビーカーがホームから転落するといった事故も発生している。
鉄道の大都市ターミナル駅では、全乗降客に対するベビーカー使用者の割合はおよそ1~2%前後。大切な命を乗せたベビーカーを守るための環境整備が、ますます求められている。(編集担当:北条かや)