働く女性が妊娠・出産にあたって職場で受ける嫌がらせ、「マタハラ(マタニティ・ハラスメント)」の問題性は周知されてきたが、育休を取りたい男性社員に対する「パタハラ(パタニティ・ハラスメント)」はもっと深刻かもしれない
働く女性が妊娠・出産にあたって職場で受ける嫌がらせ、「マタハラ(マタニティ・ハラスメント)」の問題性は周知されてきたが、育休を取りたい男性社員に対する「パタハラ(パタニティ・ハラスメント)」はもっと深刻かもしれない。
法規相談サイトを運営する日本法規情報株式会社が、1370名の男女(男性547人、女性823人)に対し、「同僚の男性が育児休暇を取ることについてどう思うか」尋ねたところ、「正直言えば迷惑だと感じるが、仕方なくサポートする」と回答した人が約8割と最多を占めた。次いで、「育休を取るよりむしろ残業して教育費を稼ぐべきであると思う」が9%、「迷惑なので、育休を取らないで欲しいと思う」が9%、「育休を取るなら仕事を辞めて欲しいと思う」が6%となっている。別の回答選択肢があれば、また違った結果になる可能性はある。とはいえこの調査に限ってみれば、同僚の男性の育休取得に対してネガティブな印象をもつ人が多いようだ。
厚生労働省の「雇用均等基本調査」によると、12年の男性の育休取得率は1.89%。取得日数は「5日未満」が最多の4割で、「1か月未満」が7割を超えている。育休といっても、男性の場合は数日~数週間しか休まないケースがほとんどだ。それでも「迷惑」と感じられてしまうのは、誰かが休んだ際、それをカバーする仕組みが整っていないからだろう。「大事な仕事を任せているのに、家庭の事情で休まれては困る」という上司や同僚の意識が、パタニティ・ハラスメントを生む。
日本法規情報の調査では、「男性の育休取得が進まないのはなぜだと思うか?」という問いに対し、最多の回答は「職場で仕事を変わってくれる同僚がいない」で25%、次いで「出世にひびくから」(20%)、「子供の育児は母親が中心となるべきだから」(19%)、「職場の上司が許してくれないと思うから」(15%)などが多くなっている。
マイナビによると、15年卒予定の文系男子大学生のうち、4割強が「育休を取って積極的に子育てしたい」と考えている。彼らのような若者が就職して父親になる10数年後の近い将来、「パタハラ」のない社会は実現できているだろうか。(編集担当:北条かや)