ウオールストリートジャーナルによると、今年のサッカー・ワールドカップ(W杯)の開催前、アメリカの大手投資銀行であるゴールドマン・サックスのエコノミストらは膨大なデータを分析して各試合の結果を予想した。しかし、その的中率は芳しくない。グループリーグでは現地時間23日までに36試合が終了したが、ゴールドマンの予想的中率は36.11%にとどまっているというのだ。
ゴールドマンは、ブラジルの優勝確率を48.5%と分析。アルゼンチンの14.1%、ドイツの11.4%がそれに続いた。この予想は、1960年以降に行われた約1万4000の国際試合を分析した統計モデルを基にしている。ゴールドマンは今回のW杯について、ブラジルは決勝トーナメントでオランダ、ウルグアイ、ドイツを破り、7月13日の決勝では、アルゼンチンを下すと予想していた。
23日までの結果を受け、ゴールドマンは決勝トーナメントに勝ち上がる16強の試合予想をアップデートした。ブラジル優勝の予想は変わらないが、決勝進出チームをアルゼンチンからオランダに変えた。また、グループリーグ敗退を見込んでいた米国については、決勝トーナメントに進出すると予想を変更。準決勝まで進むとみていたスペインはもちろん消えた。新しい予想では16強の半分が入れ替わった。
ところで、今大会の結果を予想できなかった金融機関はゴールドマンだけではない。オランダの金融大手INGのエコノミストらは、チームの市場価値に基づいてスペインが2連覇を達成すると見込んでいた。だが、スペインはオランダとチリに連敗して1次リーグを突破できず、特にオランダ戦では大差で撃沈された。
W杯の予想は、高度な金融工学を駆使し、先端的な金融取引システムを構築してきた投資銀行をもってしても困難であることが、またしても実証された。実はゴールドマンは2010年の南アフリカ大会でも予想を行っている。26.6%の確率でブラジルを優勝の筆頭候補と予想していたが、実際には準々決勝で敗退した。同大会で初優勝を飾ったスペインは、ゴールドマンの分析では優勝確率15.7 %で2番手だった。
的中率はさておき、海外ではエコノミストが膨大なデータを分析して大まじめに結果予想を行っているというのはお国柄の違いか。日本の金融機関でこのような顧客向けレポートを書いたなら、上司の決裁をもらうことができるだろうか。(編集担当:久保田雄城)