東京証券取引所などが19日発表した2013年度の株式分布状況調査によると、個人の日本株の保有比率(金額ベース)が07年度以来、6年ぶりに2割を下回った。個人の保有比率は3月末時点で18.7%と07年度以来の低水準になった。低下幅は1986年度以来、27年ぶりの大きさだ。個人株主数(延べ人数)も4575万人と2年ぶりに減った。減少幅は21万人と、同じ基準で比較できる85年度以降では最大だった。マーケットでは個人投資家の存在が薄くなっているのだ。
6月16から20日の日経平均株価は251円の上昇。ほぼ1年ぶりの5週連騰となった。気がつけば、5月19日の安値から1300円超高い水準にいる。1月には少額投資非課税制度(NISA)がスタートしており、個人投資家の資金がマーケットに大量に流入していてもよさそうなものだが、蓋を開けてみれば個人はシェアを落としている。株高にもかかわらず、マーケットから個人投資家の姿が消えた。
13年度は日経平均株価が年間で2割上昇。株価の上昇により利益確定の売りが多く出たとの分析もある。株の売却益などにかかる税率を低く抑える優遇税制が昨年末に終了したことも、駆け込みで売りを後押しした面がある。個人は保有シェアを落としたが変更前の駆け込みや株高による利益確定が主因で投資余力は大きく増しているはずだ。
個人は株価が下がり割安感が出たところで「押し目買い」を好むのに対し、ヘッジファンドは相場に追随する「トレンドフォロー」と呼ばれるタイプや、新高値を付けると買い、節目を突破するとさらに勢いづかせる「ブレイクアウト」型戦略など流れを加速する投資手法も多い。こうした投資手法の違いも個人投資家不在のままで株価が上昇している一因になっている。
現在の株式市場は、個人や金融機関など国内勢が手放した株を、海外マネーが吸収する構図が鮮明になっている。何しろ今の個人投資家には投資余力がある。特段の上昇要因もなく上昇する株式相場を横目に、参入する機会を虎視眈々と見計らっている。この勝負を制するのは上昇相場を勢いづかせている海外勢か、それとも値下がりを待っている個人投資家か。(編集担当:久保田雄城)