連日のように、日本企業による東南アジアへの進出が伝えられている。事業を開始する企業、生産拠点を設置する企業、その内容は様々だが、成長著しいそれら東南アジアの国々に、国内にはないビジネスチャンスを見出そうとする企業が急増している。その流れはもはや「傾向」という言葉よりも、「ブーム」という言葉の方が相応しいほどだ。そうして事業進出・生産拠点設置が行われるのはベトナム、タイ、インドネシアなどだが、それ以外にインドに対しても熱い視線が注がれている。そして今回、インターネット通販の楽天市場を運営する楽天<4755>が、インドにシステム開発拠点を設置したとの発表を行った。
25日、楽天はアメリカのITコンサルティング会社PROLIM Global Corporationと連携し、「Rakuten India Development and Operations Center(RIDOC)」をインドに設立したと発表。こちらのRIDOCは楽天では初となる、インドでの包括的な開発拠点であるだけでなく、ナレッジベースと人材確保の役割も担うとのこと。また、こうして楽天が海外に開発拠点を設置するのは、アメリカ、中国、シンガポールに続き4箇所目で、「インドのシリコンバレー」と呼ばれているバンガロールにあるワールド・トレード・センター内に開設された。
楽天は、社員とは異なり、プロジェクト単位で関わることの多いパートナー・スタッフの場合には社内に技術や知識が蓄積されにくいという課題を抱えていたが、しかし今回設置されたRIDOCではBOT(構築-運営-移転)方式を採用することにより、インドでの開発が補完できるようになり、そうした課題も解決することができると説明している。そしてパートナー・スタッフに対しても、人材の維持・確保やナレッジベースの拡充を行うことで、世界中にある楽天グループ企業のプロジェクトに携わっていく機会を提供するとの展望も示している。
今回楽天がステム開発拠点を設置したバンガロールには工科大学が多くあり、インドのIT開発の中心地である。同地には楽天以外にもすでにアメリカのIT企業や、日本のソニー<6758>が開発拠点を設置している。(編集担当:滝川幸平)