「Honda Jet」の新たな局面。量産1号機の試験飛行が完了した

2014年06月29日 11:22

Honda_Jet

初飛行に成功した「Honda Jet」量産1号機。この機体はパールグリーンにメタリックゴールドのストライプの塗装を施されているが、量産機には数種のカラーリングが用意される。

 ホンダの航空機事業子会社のホンダ・エアクラフト・カンパニー(Honda Aircraft Company /HACI)が、5月20日にスイス・ジュネーブで開催されたビジネス航空ショーにおいて、「Honda Jet」の量産1号機を公開したことは既にレポートした。量産機の生産ラインにGE Hondaエアロ・エンジンズ社製の量産型ターボファンエンジン「HF120」が納入され、量産1号機にはすべてのシステムの取り付けおよびエンジンの装着が完了し、公開されたわけだ。

 この「Honda Jet」量産1号機が、パールグリーンにメタリックゴールドのストライプの塗装を施し、試験飛行に成功したと発表された。

 量産1号機は、アメリカ東部時間2014年6月27日10時18分(日本時間2014年6月27日23時18分)に、HACI本社がある米国ノースカロライナ州グリーンズボロ市のピードモントトライアッド国際空港を離陸。飛行特性や各種システムの機能試験を行なった。HACIの従業員1000人以上が見守るなかで、試験飛行を無事に終えた。

 「Honda Jet」の開発責任者であり、HACIの藤野道格社長は、「Honda Jetは優れた技術力とモノ作りにかける情熱の結集であり、今回の量産1号機の初飛行は最先端の小型ビジネスジェットをお届けする上で重要な節目です」とコメントしたという。

 この試験飛行の成功により、これまで米国連邦航空局(FAA)の型式証明(TC/Type Certification)取得のために飛行試験を重ねてきた認定試験用機に加え、量産1号機の飛行がスタートする。

 量産1号機の初飛行は、2015年のデリバリー開始に向け「Honda Jet」の量産機生産における新たな局面に入ったことを意味する。

 「Honda Jet」の特徴は藤野社長が発案したデザインだ。2基のエンジンを主翼上部に載せるような形で取り付けたことで、高速飛行時の空気抵抗を抑え、燃費向上と速度増加の効果を生み出した。エンジンを機体から切り離すことで室内も広がった。藤野社長は、このデザインが評価され、業界で最も権威があるとされる米航空宇宙学会の「エアクラフト・デザイン・アワード」を日本人として初めて受賞している。

 「Honda Jet」は、すでに北米と欧州で受注を開始している。「Honda Jet」の生産工場では量産が進められており、既に10機が最終組み立て段階にある。2015年1月~3月に予定されているFAAの型式証明の取得後、顧客に向けてすみやかにデリバリーされる予定だ。

 「Honda Jet」の航続距離は2185kmで、巡航速度は778km/h。ライバルに比べて15%以上の省燃費ジェットでありながら、室内空間は20%以上広い。しかも、価格はライバルと拮抗する450万ドル(約4億7000万円)である。(編集担当:吉田恒)