集団的自衛権の行使容認へ7月1日にも閣議決定する流れに、平和の党として歩んできた公明党の執行部が同調する動きに公明党元国対委員長はじめ党員らから、慎重な対応を求める声や合意なら党員やめるなど、批判の声もあがっている。
公明党の山口那津男代表は地方の集会で与党協議や党内議論の状況を報告し「憲法が柱としてきた本筋はいささかも曲げることなく、時代の変化に応じた備えの在り方をこれからも長く保てるべきものになっている専守防衛、非核三原則など平和主義の柱はこれからも維持していく」と理解を求めている。
しかし、党員の中からは「ちゃんと僕ら党員がしっかり納得できる話をしてください。今回の行動には失望した。今のままでは党員をやめます」など、与党協議という密室の中で、憲法改正手続きを経ずに憲法の解釈を変更し集団的自衛権の行使を容認することへの危機感や批判は強い。
反対者の中には公明党元国対委員長の坂井弘一さん(衆院議員8期務めた重鎮のひとり)もいる。政治評論家の森田実さんへの手紙で坂井元国対委員長は「公明党の国会議員に問いたい。あなた方は我が身を死地に赴く自衛隊員に置き換え、同じ人間として命をかけて戦うと覚悟した上で集団的自衛権行使に合意するのか」と問いかけ、「集団的自衛権行使が成立したら公明党所属の国会議員は自衛隊員と一緒に戦場に行くべき」と強い憤りで、限定的にせよ集団的自衛権の行使容認に自民党と合意し、閣議決定する姿勢をけん制し、改めるよう訴えている。
森田さんが「坂井さんから集団的自衛権の行使容認をめぐる憂国の情あふれる手紙をいただきました。全国民の皆さんに読んで考えてほしい訴えです」と内容をそのまま紹介している。
坂井さんは手紙の中で「国民に問うこともなく、国民的な議論も合意もないままに、自衛隊員を死地に投じ、『君たちは国のために死ね』と命ずる暴君安倍首相の姿が目に浮かんでなりません。自衛隊員も人の子、親も妻も子供も家族もあるのです」と懸念を滲ませている。
また、坂井さんは「じりじりと追い詰められて精根尽き果て苦渋の選択、と無理に理解したくてもそれはできません。今日まで政権の中にあってつねに『大衆と共に』の原点を忘れず、大衆福祉に懸命に汗を流したその労を自画自賛している私です。政策選択には幅があります。功罪もあります。しかし、集団的自衛権行使か不行使には幅はありません。集団的自衛権行使は大罪です」ときっぱり、その判断を示している。(編集担当:森高龍二)